いくつかの研磨した石204
三重県亀山市加太金場 加太川川原露頭の灰礬石榴石を一面研磨しました.今月のはじめに2週連続で観察しに行ったときにサンプリングした石の,成形カスを研磨しました.褐色―赤褐色系の色を呈する塊状の灰礬石榴石からなる石で,肉眼的には均質に見える石でした.粒がやや揃っていてあまりほかの鉱物を混入していないため,硬いが磨り易いだろうと思って研磨にしました.
現場はこの河原です.前々回行ったときに撮影しました.右手前が上流方向,中央やや左が下流方向です.
(研磨)前述どおり,粒が揃っているので研磨は早く仕上がりました.石榴石以外の鉱物は多少含まれていましたが,これより硬度が低いため手間は取りませんでした.仕上げは黄白色の砥石でしました.黄白色の砥石は風化が中途半端で少し硬いので刃物用には向きませんが,一面研磨した石には向いているようで少し磨ったら光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
淡褐色―褐色―赤褐色部が塊状の灰礬石榴石です.
以下,更に拡大しました.
灰礬石榴石(Grossular).色が淡い方が純粋に近いと思われる.色の濃い部分は鉄分やマンガンの影響で着色しているものと思われる.
透輝石(Diopside).肉眼的に透明感があまり感じられませんでしたので,サーラ輝石とつけておいた方がいいかもしれません.母岩の諸所に見られる空隙に微細な結晶が含まれていました.
柱石(Scapolite).おそらく灰曹柱石と思われる.塩酸で反応が殆ど無いためで,灰柱石成分が多いと,塩酸から上げてみると海綿のように穴だらけか一部が欠損したような感じになってしまいました(宮崎県日之影町黒仁田林道産の灰柱石).ここのものは塩酸で処理したところ,ガラス光沢がしっかり判るキレイな柱状結晶が現れました.白色柱状部が柱石.淡緑色部が透輝石.淡褐色―褐色―赤褐色部は灰礬石榴石です.