いくつかの研磨した石103
奈良県五條市西吉野町勢井 川股鉱山の閃亜鉛鉱を含む
含銅硫化鉄鉱を部分研磨してみました.7年ほど前にこの地域を
まわった時にサンプリングした標本です.県道49号を笠木峠の方
へ走らせていると,民家の角に林道「鉱山線」というのがちらっと見
えた.奥に鉱山があるのは確実で,時間も早かったので寄って見ま
した.入口は植林で,西側に川が流れていますが,川の二股まで来
ると終点で,ホッパーを壊したようなコンクリの壁で終わっていまし
た.西側の谷に比較的大きな坑口があって,当時は黄色の水酸化
鉄のヘドロのようなものが流れていました.
鉱石質のものは東側の谷に少しあってここでサンプリングしました.
最近になって整理していると出てきました.奈良県内ではどういう
訳か閃亜鉛鉱の産出が少なく,出てきたらサンプリングするように
していました.そのうち小さなものを部分研磨してみました.
(研磨) 見た目がガリ鉱のような硫化鉄鉱だったので,簡単に削れる
と思い一気に削りました.上の写真のように部分的に削ったのはこれ
以上磨ると亜鉛が全て削られてしまう可能性があったためです.
仕上げは青砥で充分きれいになりました.
表面はこんなかんじです.
(以下,顕微鏡写真)
黒色部が閃亜鉛鉱で,帯黄真鍮色の粗粒なものと細粒のものは
どちらも黄鉄鉱でした.少し銅分が多いのか黄色味の強いところに
石英が介在していました.
1回しか訪問していませんので,規模等は判りませんが,以下の
鉱物があったと野帳には書いていました.
黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・石英・磁鉄鉱・褐鉄鉱・方解石・孔雀石
水亜鉛銅鉱・珪孔雀石・含銅アロフェン?・緑泥石など.