いくつかの研磨した石102
香川県仲多度郡まんのう町長尾 猫山鉱山の珪線石標本の裏側
を一面研磨してみました.以前にどこかで購入した標本です.
Al2[O|SiO4]の鉱物は同質三像で,市場では色彩のきれいな藍晶石
や比較的多く産する紅柱石などがよく見かける.最後の一つ珪線石は
どういう訳かあまり見かけない.色彩が地味でかつ白雲母に変質しや
すく新鮮なものはあまり無いように思える.
上の石は半分以上が熱水変質によって蝋石質になっているようで,
肌ざわりがスベスベしている部分があった.もう一つ当地の珪線石が
よくわからなったため,随分放置していました.最近になって,標本の
整理をしていたら出てきましたので,裏側を一面研磨してみました.
標本の表面です.
(研磨)白雲母が肉眼的に多く見えるので柔らかいと思って,一気に
磨り上げました.石英もあまり入っていないようで,仕上げに青砥で
磨ってから観察したところ全くと言っていいほどこの面には含まれて
いませんでした.顕微鏡下での観察なら入っているかもしれません.
(以下 顕微鏡写真)
文献によると燐灰石も入っているそうで,研磨した後に短波紫外線
灯で蛍光があるか試験しました.上の画像の中央にある短柱状部
が黄白色―橙白色にボヤーっと蛍光しました.ガラス光沢で青砥
で光沢が出ているため燐灰石だろうと判断しました.
割り端を観察してその延長を研磨面で見ていると白色繊維状
の部分が珪線石でした.全体のボヤーっとしています.
黄鉄鉱の多い部分です.帯黄真鍮色金属光沢の粒が黄鉄鉱.
周辺にある白色のボヤーっとしたのが珪線石,暗い赤色の柱状
に見えるのが紅柱石のようです.緑色は葉蝋石か?
研磨面では無い部分の顕微鏡写真です.中央より下の部分は
雲母類,白色繊維状部は珪線石,赤っぽいところが紅柱石の
ようです.
香川県内はこういったややこしい石が無いようで,見つけ
たら購入するようにしてますが,今のところあまり無いようです.