いくつかの研磨した石89
今回は3点紹介します.
滋賀県長浜市木之本町金居原土倉鉱山東部鉱床の含銅硫化鉄鉱を
一面研磨してみました.滋賀県内最大級の鉱山で通洞坑や選鉱所跡が
未だに残っています.当標本は東部鉱床のものです.選鉱所の横にある
ズリはいわゆる「ガリ鉱」が多いところで,主に黄鉄鉱が鉱染した程度のも
のくらいしか無いようでした.
(研磨)基本的に石英が多く,次いで黄鉄鉱,部分的に黄銅鉱,粒間に僅量
の緑泥石を含んでいました.硫化が多いので簡単に磨れてくれると思ってや
ってみましたが,うまくいきませんでした.工業用砥石で粗削りして,通常なら
中砥ぎするのですが,すでに硫化の部分が凹んでしまい,天然砥石で仕上げ
しました.
部位の説明です.
2つ目.
高知県高岡郡仁淀村黒滝.長者鉱山の硫化鉄鉱を一面研磨して
みました.標本は元からカットされていて,カット面がすでに真っ黒でし
たので,掃除もかねてやってみました.四国秩父帯および黒瀬川の
結晶片岩中の銅鉱床で,すぐ北側に巨大な石灰山があります.
上の標本とは別に8年ほど前に佐田岬の方へ行ったときに,八幡
浜を経由し国道197号線を東進した上,檮原で一泊車中泊をしたとき
に訪問しました.坑口やズリなどは夏草が繁茂して判りませんでしたが
いくつか黄銅鉱を含んだ硫化鉱を拾いました.ほかは谷の上流から流
れてきたと思われる石灰が大量にあったように記憶しています.
(研磨)塊状の硫化鉱なので#1000くらいの粒子から直接磨りました.
難なく磨り上がりましたが,光沢が出てくれませんでした.青砥を試し
にしましたがうまくいかず,高島砥でなんとか形になりました.
緑泥石を含んだ塊状の硫化鉱でほとんど黄鉄鉱からなっていると
思っていたのですが,一部に磁石に反応がある部分があって,磁硫鉄
鉱を伴っているようです.
3つ目
北海道余市郡仁木町然別大江鉱山の菱マンガン鉱を一面研磨してみま
した.鉱脈鉱床の脈石として多量に産するもので,一名「インカローズ」と呼
ばれるタイプの石です.標本は以前に大阪ショーで小さなサンプルとして購入
したものです.裏面がやや平滑で二酸化マンガンに覆われていましたので,
簡単に磨り上がると思って一面研磨してみました.
(研磨)主として入っている鉱物は菱マンガン鉱に少量の石英や閃亜鉛鉱・
黄鉄鉱・黄銅鉱・方鉛鉱などの硫化物なので簡単に磨り上がりました.
石英は研磨に影響するほどの量は入っておらず,先に硫化物だけすり減って
凹部ができてしまうようなことはありませんでした.
各部位の説明です.上で示した以外に方鉛鉱に伴って細かい黄銅鉱
を含んでいました.それから研磨面では無い部分に白色板状の重晶石,
石を切る細かい石英脈中に,更に細かくて見分けづらい四面銅鉱?が
含まれていました.