鉱物の顕微鏡写真15 ―フェニコクロアイト―
産地:Rat Tail claim, Wickenburg area, Belmont,
Maricopa Co., Arizona, USA.(非売品)
組成:Pb2O[CrO4] 単斜晶系
色:赤・赤褐色・赤橙色ガラス光沢.モース硬度:2 1/2
比重:5.75 劈開:一方向に完全.条痕:赤色.HClで可溶.
風化すると黄色に変色.
本邦ではほとんど見られないクロム酸塩鉱物のひとつ.
即売会でもCrocoite(紅鉛鉱)以外のクロム酸塩の鉱物は
ほとんど見つけられなかった.標本は数年前の京都ショー
で見つけて購入したものです.和名は深紅鉛鉱というそう.
鮮やかな朱色というか赤色で,細かいものが多いのか
あまり結晶したがらないのか,手持ちの標本には微細な
ものしか付いていませんでした.
母岩は赤褐色の凝灰岩質の角礫を含む岩石で,礫間を
重晶石のような鉱物で埋めているようだ.クロム酸塩の基
となるような鉱物は標本中には見当たらなく,若干の黒色
粒状の閃亜鉛鉱が入っていました.
標本の一部を拡大.(顕微鏡写真)
赤い部分がフェニコクロアイトで,黄色部は風化物なのか,
結晶質の部分があまりなく,粉状に見えた.
更に別の部分の拡大.(顕微鏡写真)
母岩の表面に白い粉状や被膜状をなす鉱物として,元ラベル
にウィッケンブルグ石(Wickenburgite)がついているとか,ありま
したが,拡大したところ良くわかりませんでした.
濃集して粒状になった部分の拡大です.手持ちのカメラでは
限界でした.
顕微鏡でほかの部分を観察していると,もう一つ名前の付く
石が出てきました.
これもメッチャ小さいです.顕微鏡下で結晶が確認できました.
頭の尖った結晶ですが,写真にははっきりと写ってくれません
でした.
Hemihedrite ヘミヘッドライト
組成:Pb10Zn[(F,OH)|SiO4|(CrO4)3]2 三斜晶系 という鉱物
のようです.
メッチャ小さいですが,顕微鏡とカメラのズーム機能を遣って
頑張ってみました.橙色ガラス光沢の部分です.
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