鉱物の顕微鏡写真16 ―パイロリュース鉱―
産地:Imani mine, Imani area, Ouarzazate province,
Draa-Tafilalet region, Morocco.(非売品)
Pyrolusite パイロリュース鉱
組成:β-MnO2 正方晶系
色:黒色・暗灰色金属光沢.塊状のものは土状.
条痕:黒色・帯青黒色.
モース硬度:2-6 (塊状のもの)
比重:5.04-5.08 劈開:一方向.(結晶質のもの)
同質異像鉱物:ラムスデル鉱・アフテンスク鉱
二酸化マンガンの鉱物はかなり種類があり,いろいろ
結晶を探してみましたが,よくあるのがラムスデル鉱で,
このパイロリュース鉱はその次くらいでした.
和名,軟マンガン鉱の名前がありますが,必ず軟らかい
とは限らないようで,当方はあまり遣っていません.
今回,ちょっといい感じの標本がありましたので,
紹介しました.
産状は堆積性マンガン鉱床や層状マンガン鉱床の酸化帯
などがあり,ほかに熱水鉱床の脈石に含まれるものなど
があるそうです.
標本は砂岩質の母岩を切るパイロリュース鉱の結晶です.
砂沙漠の砂を膠着したような岩石で,割れ目に沿って,放射状
に結晶が伸びています.新鮮時は鋼灰色金属光沢で,いかにも
金属鉱物のように見えますが,空気中で酸化して,光沢が鈍く
なるようです.写真の標本は少し錆びています.
以下拡大写真とその他の産地の標本
帯青鋼灰色―黒色部が新鮮なもので,褐色になっているのが
錆びた部分です.
別の部分の拡大です.白色部は母岩の砂岩質岩です,
産地:L'Abse, Baraga Co., Michigan, USA.(非売品)
こちらはアメリカ産です.やや変質した白色の珪質岩中に
脈をなすものです.
上の写真の拡大写真です.板状の結晶が折り重なったように
なっています.
上の標本の側面の拡大写真です.黒色金属光沢の結晶が
脈状になっています.
産地:京都府南丹市美山町丹波鉱山城山鉱床.(非売品)
日本産の一般的な標本です.黒色亜金属光沢の塊状で
良く似た二酸化マンガンの鉱物であるクリプトメレンや
エヌスート鉱(横須賀石)などと集合していますので,肉眼で
はほぼ判別できません.
産地:千葉県鴨川市嶺岡浅間.(非売品)
チョコレート色の泥質岩の割れ目に入っているパイロリュース鉱
です.知人より分けていただいた標本です.黒色の被膜状の部分
がパイロリュース鉱です.白色の脈は方解石のようです.
産地:京都府南丹市八木町紅葉峠.(非売品)
道路工事の際に産したものです.ノジュール状の塊で,
割ってみると中から出てきました.水マンガン鉱とラベルに
は書いていたのですが,のちにパイロリュース鉱と判り変更
しました.双眼顕微鏡でかなり拡大しています.
(水マンガン鉱の仮晶)
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