顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真178
―ダンダス石―
産地:Adelaide mine, Dundas minaral field, Zeehan district,
West Coat municipality, Tasmania, Australia.(非売品).
Dundasite ダンダス石
[組成] PbAl2[(OH)2|CO3]2・H2O
[結晶] 直方晶系.自形は微細な板柱状ないし針状.毛状・放射状
・蜘蛛の巣状・球状・皮膜状などになる.結晶ないしその集
合は脆い.
[色] 無色・白色・灰白色・灰色・淡青色・青色・淡黄色・灰黄色・
黄褐色など.
[光沢] ガラス光沢~絹糸光沢.
[モース硬度] 2
[比重] 3.1~3.55. 3.716(計算値).
[劈開] {010}に完全.
[条痕] 白色.
[原産地] Adelaide mine, Dundas mineral field, Zeehan district,
West Coat municipality, Tasmania, Australia.
[名称] 原産地の地域名に因る.
久々の更新です.
20年くらい前の購入品です.なにか安価でサンプルになるような紅鉛鉱を探していて所,上の標本があったので購入しました.
ラベルの表題に「紅鉛鉱上のダンダス石」とあって,当時はどの部分を指すのか全く分からず,新しいラベルに「紅鉛鉱」として記載し,下の余白に「dundasite を伴う」と小さく記載していました.
20余年標本を所有していると塵や小虫の死骸やら埃が箱の隅のほうで固まっていて,定期的に掃除しています.その掃除もそろそろ終わりが見え始めたころに,この標本が出てきました.
当時はよくわからなかったDundasiteがWeb上のページなどを参考にしたところ,茶褐色の母岩の端の方にちょこっとついている紅鉛鉱の上に白い埃のような鉱物が乗っていました.顕微鏡で確認したところ毛状の鉱物が紅鉛鉱の結晶の上に密集たり,カビが生えたように集合していました.
ダンダス石(Dundasite)は鉛(Pb)とアルミニウム(Al)を主成分とする含水炭酸塩鉱物です.基本的には無色か白色ですが,産地によっては淡青色や灰黄色に着色するようです.微細な自形は一応,板状になっているようですが,手持ちの顕微鏡では確認できませんでした.それが毛状や放射状・球状・皮膜状などに集合して,もこもこの集合体にもなるようです.
はじめの画像の全体写真.白い埃がへばりついているようにしか見えない.
白っぽい部分がダンダス石.赤いところは紅鉛鉱.
通常の拡大では針状や羽毛状の晶癖は観察できなかったため,カメラのズームを使用して,はじめの画像は撮影しました.
かなり拡大しています.ようやく毛状の晶癖が観察できました.白いところがダンダス石, 赤い部分が紅鉛鉱.
ラベルの書き換えで,標本ケースも新調しついでに顕微鏡写真も撮ったため,掲載しました.