研磨石
いくつかの研磨した石290
京都府亀岡市稗田野町佐伯下峠の菫青石ホルンフェルスを一面研磨しました.1998年ごろに温泉の下の池のあるところの側道側を工事したときに出た土砂からサンプリングした石です.当時あの急な坂道を通学路に使っていて,体調の良いときは,あの坂道を一気に自転車で駆け上っていました.雨降りや蒸し暑いときなどは下から押して歩いていました.今はどうかわかりませんが,あちこちで工事していて,奥条の奥や372号の湯の花の交差点などでホルンフェルスが見られました.少し本梅側に行くと,亀岡ハイツの西側の斜面に猪倉断層が見えていて,両側で真っ黒なホルンフェルスが観察できました.花崗岩体に近いほど菫青石ができていて,平松あたりまでいくと菫青石は無く,黒雲母になりました.また南の朝日山にある高村鉱山(マンガン)のズリでも不完全な菫青石を含んだホルンフェルスが見られました.
高校時代のサンプルを片づけていたところ,研磨に使えそうなホルンフェルスがいくつか出てきて,そのうちの一つを磨ってみました.
(研磨)
変質した菫青石を含んでいるので,そんなに硬くは無いだろうと予想して磨り始めました.菫青石以外の部分の粒の大きさがそろっていたので,磨りやすい石ではありましたが,あまり風化していないようで,時間を要しました.仕上げは初めに青砥で軽く磨ったあとで,笠置町大峯の泥質ホルンフェルスで時間をかけてゆっくり磨ると光沢が出てくれました.
(以下は,顕微鏡下での観察です)
やや層理があって,風化するとこういうのが青砥になるのかもしれません.画像ではわかりづらいのですが,白色に見える鉱物の周りに微細な白色毛状の鉱物がまとわりついていて,これが何かわかりませんでした.京都府鉱物誌に珪線石の記載があって,こういうのに含まれているのかもしれません.
菫青石.変質して緑泥石になっています.青緑色タイプの桜石です.この集合で,この部分が一番柔らかいようで,この部分だけへこんでしまいました.
桜の花の中央がどうなっているのだろうと思って,カメラのズームも使用して撮影しました.白い部分は雲母っぽい感じで,中心付近に淡い真鍮色の黄鉄鉱の微細な粒が少し見られました.
こちらは,柱面と並行の断面です.擦り切れて少しいびつな外形になりましたが,砂時計のような構造は観察できました.
そのほかの部分です.いびつな柱状鉱物があって,拡大しました.柱の内面のきらきらした部分は雲母類で,黄色っぽい部分がわかりませんでした.にわかにピンク色を帯びている部分もあって,産状から紅柱石を予想しましたが,どんなもんでしょう.この部分が妙に硬く全体より少し膨らんでいます.