研磨石
いくつかの研磨した石264
長野県飯田市八重河内の菫青石を一面研磨しました.泥質片岩の石英の多い部分にレンズ状で入っているもので,2019年11月に行った信州巡検でサンプリングしました.それより5年以上前に一度訪問しているのですが,そのころとは全く現場の様子が変わっていました.まず橋がありませんでした.
2019年11月ごろの番所前の川原.治水工事が進んでいるようで,川原で見られる岩石も様変わりしていました.
(研磨)大部分が石英なので,かなり硬いことを前提に磨り始めました.泥質の挟みの部分は柔く,すぐに磨りきれました.ここからが硬くで難儀しました.
一気に磨り上げるのは無理なので,休憩しているときに手を動かすこと約1か月.ようやく平滑になってくれました.中砥を大村砥で軽く磨ったあと,青砥で磨りました.光沢が出るまでなかなかで,若干硬度の低い菫青石の部分を仕上げするのに時間がかかりました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
顕微鏡下で横からかなり強い光源を用いて撮影しました.菫青石の発色がキレイにでてくれました.
鮮やかな帯紫青色部が菫青石.赤褐色は泥質岩の挟み.黄色―白色は水酸化鉄の汚染による染みを被った石英.
菫青石と母岩との境界付近の拡大.赤褐色部が泥質岩の挟み.黄色―白色は水酸化鉄の汚染による染みを被った石英.青色部が菫青石.菫青石の内部に針状の角閃石のような鉱物が入っているようです.もしくは緑泥石類か?
こちらも菫青石と母岩との境界の拡大写真です.境界に硫化鉱物を伴っています.多少赤色味を帯びていますが,ネオジム磁石で引き寄せられるかを確認したところ,まったくそういう反応はありませんでした.磁硫鉄鉱では無いようで,未研磨の面を詳しく観察したところ黄鉄鉱でした.
菫青石内部の拡大写真です.針状の角閃石類ないし緑泥石類の集合かもしれません.小さすぎて判別できませんでした.
一番初めの写真の右端に細長くついている菫青石内部の拡大です.白色の筋状の鉱物が入っていました.ルーペで確認すると白色の筋状の部分は溝になっていました.研磨傷かと思っていましたが,未研磨の面の菫青石の表面を観察したところ,別の菫青石のレンズに白色繊維状の鉱物が入っていました.おなじアルミニウムの鉱物で,出てきそうなのは珪線石くらいで,ほかに浮かぶ石がありません.別の面の白色繊維状の鉱物は珪線石かもしれませんが,小さすぎてよくわからないため不明鉱物としました.