研磨石
いくつかの研磨した石262
愛知県北設楽郡設楽町八橋 田口鉱山表山3号のばら輝石質の石を一面研磨しました.赤々としていたズリ時代の石で,磨ったらどんなものになるのだろうと思って一面研磨しました.
(研磨) ばら輝石類の集合なのできっと硬いだろうと予想して磨り始めました.肉眼で見ると黒色に見える角閃石類がやたら入っていて,石英などの硬い鉱物は入っていないようでした.思ったより早く磨りあがりました.
800番手のペーパーで軽く中砥をしました.仕上げは青砥で光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
ピンク色部がばら輝石類です.ばら輝石類は最近,ばら輝石と鉄ばら輝石とヴィッティンキ石に分かれたそうで,どの種に入るのかわからないうえ,顕微鏡下で観察していると,経験上の感じでパイロクスマンガン石になりそうな粒がいくつか入っていました.それも含めると4種になるので,ばら輝石類としました.見た目で黒色っぽい粒は角閃石類で,リヒター閃石(Richiterite)という名前でラベルにありましたが,ほかの人に聞いたところ普通角閃石もあるということでした.どの種に当たるのかはっきりしないので,角閃石類としました.
ピンク色の濃い部分の拡大です.橙色の粒が入っていて,石榴石かと思っていたら,色の淡いエジリン輝石でした.
マンガンエジリンと呼ばれる,エジリン輝石です.結晶の頭の断面が確認できる部分の拡大です.粒は小さいですが,頭が確認できました.ピンク色部はばら輝石類.濃緑色―見た目で黒色に見える部分は角閃石類です.
角閃石類の集合している部分の拡大です.ピンク色部はばら輝石類.
角閃石類の内部にばら輝石類の自形結晶が埋まっている部分の拡大です.かなり小さいので,頭がどの部分かははっきりしません.
今回,研磨した石に入っている角閃石類で唯一,青色角閃石が少しだけ入っていました.リーベック閃石様の角閃石?だろうと思う.
吉村石(Yoshimuraite Ba4Mn2+3Mn2+Ti2[O4|(SO4,PO3OH)|(Si2O7)2] 三斜).
ばら輝石の鮮やかな赤色が濃くて,ほかの鉱物をあまり含んでいない石を選んで研磨したのですが,吉村石が少しだけ入っていました.赤褐色―茶褐色長柱状に見える部分が吉村石です.板状結晶を直角に切ったようで,ハンマーで割ったときの破面とかは板状になっています.右横にある帯赤茶褐色短柱状はマンガンエジリンです.