Quantcast
Channel: 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1632

鉱物の顕微鏡写真131 ―チロル銅鉱―

$
0
0

顕微鏡写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真131

 

 

産地:Falkenstein, Falkenstein mining district, Schwaz district, Tyrol,

       Austria.(非売品).

 

 

Tyrolite   チロル銅鉱

[組成]        Ca2+2Cu2+9[(OH)8|CO3|(AsO4)4] ・11H2O

[結晶]        単斜晶系.自形は単斜板状・長板状.葉片状・ロゼット状・

            放射状・繊維状・繊維の曲がった放射状・球状・皮膜状集合

            体などになる.

[色]          淡緑色・灰緑色・緑色・帯青緑色・淡青色・帯緑青色・青色

            など.

[光沢]        真珠光沢~絹糸光沢.文献によってはガラス光沢との記述

            もある.

[モース硬度]    1.5~2. 脆弱.

[比重]        3~3.2

[劈開]        {001}に明瞭.

[条痕]        淡緑色・淡青色・白色など.

[名称]        原産地の地域名,Tyrol に因む.

[原産地]       Falkenstein, Falkenstein mining district, Schwaz district, 

                        Tyrol, Austria.

ほか,塩酸およびアンモニアに可溶.

 

 

 

 

 閃亜鉛鉱の次はチロル銅鉱にしました.

 

 何かの文献に白色の石英の上に鮮やかなタークォイズブルーの華が咲いたような写真があって,似たような標本を探していました.上の標本はサイズは小さいですが,原産地標本でしたので,購入した標本です.

 原産地付近はオーストリアアルプスの急斜面を流れる谷の付近で,古い鉱山がたくさんあるようです.付近はオフィオライトが分布していて,その中の鉱脈鉱床の二次帯でできた鉱物のようです.

 見た目は樺阪鉱山の水色放射状のサーピエリ石に似ていますが,組成は

2コニカルコ石+孔雀石+コーンウォール石+水で,緑色を呈するチロル銅鉱はコニカルコ石や孔雀石・コーンウォール石に似ています.

 

以下は国産の標本です.

 

 

産地:山口県美祢市美東町絵堂 喜多平鉱山(非売品).

 本邦最初のチロル銅鉱の産地のものです.現在は各地の酸化帯で見つかっています.褐鉄鉱化した母岩の空隙に繊維状をなすチロル銅鉱です.近くに石灰の小さなブロックを伴っていて,同じ銅の砒酸塩鉱物のアダム石やコニカルコ石の入っている母岩とは,外観を異にしています.

 

 また木浦鉱山のチロル銅鉱もあったのですが,塊状というか皮膜状でこの石の特徴があまりはっきりと出ていませんでしたので,割愛しました.

 

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1632

Trending Articles