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依遅ヶ尾山の石英安山岩

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石の話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

依遅ヶ尾山の石英安山岩

 

  先日,運動不足の解消に選んだ,丹後半島の依遅ヶ尾山の登山口付近の採石場跡で,単に山登りだけでしたので採集道具などは一切持っていなかったため,転石をいくつか拾いました.山頂付近で見た安山岩と採石場跡のものは見掛けが異なっていて,扁平で細長い空隙がいくつも入っていました.

  東隣の遠下にある石切場でも似たような安山岩があって,こちらは空隙は比較的多くみられるものの丸っこく,小さいものが見られました.また炭酸塩が多いようで,菱鉄鉱あるいは鉄の多い方解石が孔を埋めたものもありました.

  石切場にあったのはほかに,東北の日本海側でよく見られる「グリーンタフ」のような緑色の凝灰岩がありました.一部が沸石岩のようになっていて,目視の観察でモルデン沸石を確認しました.

  サンプリングしたものは一部は一面研磨にまわして,今回は顕微鏡で未研磨の面を直接撮影しました.

  文献を漁ってみたところ新生代古第三紀中新世ごろの噴出で,乗原石英安山岩とされていました.依遅ヶ尾山の南麓に火道を持っているとかで,採石場跡あたりがそれに合致しようです.ガスの抜けた孔がたくさんみられたのはそのためのようです.

石英安山岩.新鮮そうな部分を選んで成形しましたが,どんなもんでしょう.

 

 ガスの抜けた孔は方向性があって,層によって孔のある部分と無い部分がありました.孔の大きさは,通常は10mm内外ですが,なかには直径20㎜,長さ80㎜にもなる孔もありました.安山岩には捕獲岩もあって,玄武岩質のもの,流紋岩質のものもありました.

 孔の内部は粘土鉱物が詰まっているもの,方解石が充填しているもの,ただ孔だけで何もない中空のもの,六角板状結晶がたくさん見られるものなどがありました.

 

(孔の中の鉱物の顕微鏡写真です)

 

 

 

 

鱗珪石(Trydymite). 孔の中の微細な鉱物はこの鉱物が一番多くみられました.六角板状が単発で出ることは少ないようで,六角板状が組み合わさった球状集合体やロゼット状の集合になることが多いようです.

 

濁沸石(Laumontite). 六角板状の鱗珪石の上に,微細な角柱状の鉱物が付いていました.倍率を上げて確認したところ,四角柱を斜めき切ったような結晶で,結晶の頭の形から濁沸石と判別しました.脱水して孔の内部に白色の粉のようなものがこびりついている孔もありました.

 

 

普通輝石(Augite).  透輝石成分が多いようで緑色を呈しています.近くに緑泥石のような鉱物も伴っていて,淡黄色のレンズ状になった部分にたくさ見られました.レンズ状になった部分は色が母岩の安山岩とよく似ているので,この部分が捕獲岩なのかははっきりしません.

 

黒雲母.自形の黒雲母が微細ながらも孔の中にありました.

 

 

ステラ沸石? 別の石切場より,脈状になって入っていた沸石です.はじめは束沸石にしていたのですが,集合の仕方と結晶の感じが束沸石とはだいぶ違うと感じた.以前に九州の方から頂戴した,平戸島のステラ沸石の標本とよく似ていたため,上の標本を含みを持たせて?をつけました.

 

 

 ほかに細かい鉱物で写真にはしていませんが,角閃石類・方解石・放射状集合のアラレ石,球状で濁った感じの白色のクリストバル石,捕獲岩中に橄欖石,中性長石などが見られました.

 

 


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