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鉱物の顕微鏡写真125 ―自然金―

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顕微鏡写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真125

―自 然 金―

産地:Olinghouse mining district, Pah Rah range, Washoe county, Nevada,USA.

(非売品).

 

Gold(Native Gold)  自然金

[組成]    Au

[結晶]    立方晶系.自形は八面体・直方十二面体・[011]面方向に延びた

        柱状結晶など.塊状・樹枝状・箔状・苔状・板状・糸状・砂状などに

        なる.[111]面の繰り返し双晶.

[色]      黄金色.光沢の鈍いものは黄土色に見える.銀の含有量によっ

                て,白っぽい金色になる.鉄分を含み褐色に近いものもあり「馬糞

                金」と呼ばれたものもある.銀分の多いものは錆びやすい.砂金は

                金の含有量が多く,さびにくい.

[光沢]     金属光沢.光沢の鈍いものもある.

[モース硬度] 2.5~3

[比重]     19.30

[劈開]    無し.

[条痕]    黄金色・黄土色.

[産状]    浅熱水鉱床・中温熱水鉱床・深熱水鉱床・高温熱水鉱床・黒鉱鉱

        床(海底噴気性鉱床)・接触交代鉱床・漂砂鉱床(砂鉱)など.

ほか,展性・延性・可鍛性がある.王水にのみ可溶.銀を少量含んだものにエレクトラム(Electrum)があるが,ここでは自然金として紹介した.

 

 

 ひさびさの顕微鏡写真シリーズです.

 

  おそらく人類が一番初めに利用した金属の一つ.安定的に価値があり,資産として利用される向きもある.用途は工業的に広く利用されています.

  以前にイベントで金をテーマにやったことがあって,ライトの角度を調整するのに難儀しました.自然光でみるとある程度の大きなの金は光沢のやや鈍い黄土色の塊にしか見えない.これを日本人の「金はキラキラ輝いて見える」という先入観に合うようにかなり時間をかけて調整しました.

  古くは猫流しや腕掛けによって採取されていたのが,明治頃に青化精練が入ってから爆発的に金の生産量が増加した.昭和18年に金山整備令が出て,多くが休山にいたりました.戦後は衰微の一途をたどっています.

  上の標本は7~8年前に出回ったOlinghouse mining districtの自然金です.結構出回っていたので,手ごろな価格帯のもありました.そういう機会はあまりないので,少し頑張ってそれなりの価格で購入しました.

 「結晶の集合体やで~」って云われたのを覚えています.肉眼的に長板状の結晶が観察できる良品で,母岩から分離はしているものの,黄色が濃く金の含有量は多そうです.

横から強い光源を当てて撮影した拡大写真です.

 

 

 

3枚目の写真から下は自然光に近い光源のもと撮影しました.光源の強さと角度を調整しなければこんな感じの光沢です.

 

 

海外産をもう一つ.

 

産地:Besie mine, 1km nourthern of Lewis mountain, San Juan mountains, 

        La Plata mining district, La Plata county, Colorado, USA.(非売品)

 

 

 商品として纏めて購入した時に,「たくさん買ってくれたから,これ安くしとくから買わないか~」って云われて,購入した標本です.灰白色の石英に黄色いのがボツボツついていて,「まあ黄鉄鉱か何かやろ~」と思って,産状標本として放っておいたのですが,あとで掃除した上で顕微鏡で観察すると黄色っぽいのはすべて自然金でした.暗い鉛灰色のコロラド鉱が周りにべたべたついていて,かなりリッチな標本になりました.上の写真は自然金が単体でついている部分を探して顕微鏡下で撮影しました.

 

 

以下,国産品です.

 日本はもともと金鉱山が多いので,どの標本を使用しようか迷いました.一時期は非常にたくさんの金鉱石標本がありましたが,置く場所に困って西日本の標本だけ残しました.それでも何箇所かの東日本産の標本は残しています.

産地:愛知県北設楽郡設楽町津具 津具鉱山.(非売品).

 随分前に購入した標本です.黄な粉をまぶしたような小さな小石に見えましたが,拡大すると黄な粉状に見えた部分すべてが自然金でした.

 

産地:長野県南佐久郡川上村梓山 甲武信鉱山.(非売品).

 

 有名産地の自然金です.以前に関東のコレクターがこちらに(関西)来るときのお土産として頂戴した標本です.自然金自体は右下の方についています.左上の板状はホセ鉱Aで長さ最大2㎜強ありました.

 

産地:京都府京都市右京区御室双岡町双ヶ丘三の丘.(非売品).

 

 知人より「自分で探して見い~」と云われて,当地の石を提供されたものの中から見つけた自然金です.左右の長さは0.5㎜くらい.それでもルーペ無しの裸眼で観察できる大きさなので,当地では大きい方だろうと思う.

 

産地:静岡県下田市蓮台寺 河津鉱山檜沢.(非売品).

 

 学生時代に高速バスを利用してたった1回だけ河津鉱山に行ったときに,サンプリングしたもののうちに入っていました.銀黒というラベルを付けていたのですが,後で確認すると黄色っぽい部分はすべて自然金でした.金粒は小さいものですが,銀黒の部分にたくさんついています.

 

産地:鹿児島県いちき串木野市下名 串木野鉱山(非売品).

 

 以前に,研磨石シリーズで登場した石を再度研磨しなおして撮影しました.銀黒っぽい部分はナウマン鉱が入っているらしいのですが,はっきりわかりませんでした.

 

 

 

 

 


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