研磨石
いくつかの研磨した石252
三重県伊賀市柘植 三馬谷の泥質ホルンフェルスを一面研磨しました.1月に行った三馬谷の岩石です.サンプリングしたのは昇竜の滝の下あたりで,花崗岩の礫に混じっていくつか上のような転石が見られました.地質図で確認すると,付近にそのような岩体は無く,ちょうど滝のところあたりで黒雲母花崗岩と角閃石黒雲母花崗閃緑岩との境界になっていました.
柘植駅の北東の山は中生代の柘植層で粘板岩からなっていて,接触帯に近い以前に行った加太の不動の滝の上流あたりの石と酷似していました.三馬谷にも同様の粘板岩が捕獲されているのかもしれません.
石の端の方に花崗岩が接していて,境界がどのようになっているのかを見るために一面研磨しました.
(研磨) 結構風化していて青砥並みに軟らかく早く磨り終わりました.花崗岩側が若干硬いので,こちを優先して磨ってから高さを合わせました.仕上げは青砥で充分光沢が出ました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
暗灰色の粘板岩中に黄色の斑晶のようなものが一面に出ています.菫青石のような変成鉱物と,サンプリングしたときは思っていました.実際に磨ってみて上の程度でやめておいたのですが,少し不思議に思って成形したときに出た木っ端の中から似たような石を探して,磨ってみたところ,黄色っぽく写っていたのは花崗岩で,上の写真は薄皮一枚挟んだ粘板岩側のギリギリのところだったみたいです.黄色の斑晶?の周りに黒色の黒雲母が取り囲んでいて,花崗岩側に少し入ったところか,本当の粘板岩との境界かはわかりませんが,白色の珪線石を含んでいました.
黒雲母の集合している部分の拡大です.粘板岩はホルンフェルスというより泥質片岩のような岩石で,成形時に層理に沿ってパシパシ剥がれるといった印象の石でした.黒雲母は3種類あって,粒が大きく単体で輪郭の出やすい雲母と,黄色の斑晶?の周囲にまとわりつくようについている雲母,それから層理に沿って濃集して脈のように見えるものがありました.はじめの2つの産状のものは黒雲母かもしれないですが,最後のはスティルプノメレンかもしれません.
以前に四国の大歩危のスティルプノメレン片岩を層理に直角に切って研磨したことがあって,そこのスティルプノメレンの入り方がよく似ていました.
こちらは珪線石(Sillimanite)の集合している部分の拡大です.黄色の斑晶?のようなものは単に石英と長石だけのものと,上の写真のような珪線石の集合からなっているものとがありました.
6枚目の右上に移っている珪線石の拡大です.劈開がはっきりと観察できました.長さは0.5㎜といったところか.めっちゃちっさいです.
こちらは別の部分で泥質岩の中に入っていた珪線石です.