顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真109
―ヴァレリー鉱―
産地:Whitehorse copper belt, Whitehorse mining district, Yucon,Canada.
(非売品)
Valleriite ヴァレリー鉱(バレリ―鉱)
[組成] 4[(Fe,Cu)S]・3[(Mg,Al)(OH)2] or (Fe,Cu)4(Mg,Al)3S4(OH,O)6
[結晶] 三方晶系.柱状.針状. ブドウ状・花弁状・球状集合体になる.
[色] 暗い真鍮色・暗い黄銅色.(金属光沢のある黒雲母のような感じ)
[光沢] 金属光沢.
[モース硬度] 1~1.5
[比重] 3.09~3.14
[劈開] {0001} に完全.
[条痕] 黒色・灰黒色.
[原産地] Aurora mine, Kaveltorp mines, Kopparberg, Ljusnarsberg,
Örebro county, Sweden.
磁性ありという文献があった.
次はヴァレリー鉱にしました.硫化鉱物と酸化鉱物との中間のような組成をしている鉱物です.ぱっと見た感じでは暗い磁硫鉄鉱や金属光沢のある黒雲母といったような感じです.硬度が1~1.5くらいしかなく,先のとがったもので突くと引っ込んでしまうくらい軟らかい鉱物です.
上の標本は5~6年前に入手しました.蛇紋岩化したスカルン中にレンズ状をなす鉱床からの物とか.母岩の緑色部は蛇紋石化した橄欖石や透輝石のようで,磁鉄鉱や斑銅鉱などを伴っています.
磁硫鉄鉱に似た,暗い真鍮色ないし黄銅色金属光沢部がヴァレリー鉱です.
ヴァレリー鉱の多い部分の拡大です.繊維状になっている部分が多少見られました.帯青紫色金属光沢部は斑銅鉱です.
黒色粒状は磁鉄鉱でした.
以下,は国産の標本です.国内産の標本を探したところ,ヴァレリー鉱 マッキーノ鉱と記入した標本がほとんどで,唯一出てきたのは奥飛騨温泉郷黒谷のヴァレリー鉱でした.
産地:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾黒谷.(非売品)
購入品です.行ってみようかと思いましたが,飛騨山脈の南の方にある焼岳の西斜面に現場があって,たどり着くだけでも大変な場所という話を伺っていた.かつては滑石を目的に試掘したという現場らしいのですが,黒色の硼酸塩鉱物であるルドウィヒ石を伴うというよくわからない産状でした.
こちらはルドウィヒ石.繊維状や放射状集合をしています.
付近は飛騨外縁帯の超塩基性岩を切る安山岩や花崗岩などによって,熱水変質を受けた変超塩基性岩とのこと.採集云々は兎に角として,産状だけでも観察に行きたいところですが,前述のとおりまだ実現はしていません.