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鉱物の顕微鏡写真108 ―重土十字沸石―

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顕微鏡写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真108

―重土十字沸石―

 

産地:Basalt quarry.Weitendorf, Wildon, Leibniz district, Styria, Austria.

   (非売品)

 

Harmotome 重土十字沸石

[組成] (Ba0.5,Ca0.5,K,Na)5[Al5Si11O32]・12H2O

[結晶] 単斜晶系.結晶は単斜柱状・板状.

     十字形をなす双晶が何種類かあり.

[色] 無色・灰色・白色・淡黄色・黄色・黄橙色・橙色・淡桃色・赤褐色など.

[光沢] ガラス光沢.

[モース硬度] 4~5

[比重] 2.41~2.47

[劈開] {010} 一方向に明瞭,{001} 一方向に不明瞭.

[条痕] 白色.

[原産地] St. Andreasberg, Braunlage, Goslar district,Lower Saxony, Germany.

ほか,酸に可溶.

 

 

次は,重土十字沸石にしました.和名の重土はバリウム(Ba)のことです.十字沸石という名前から,十字型の双晶がよく見られるのか,と思っていたら案外無く,他の灰十字沸石(Phillipsite)の結晶とかと同じような結晶をしていました.

 産状は主に玄武岩やアルカリ玄武岩,玄武岩質火砕岩・霞岩・砂岩(脈状や砂岩の膠着物質として)・変成ペグマタイト・頁岩・片麻岩・アルカリ斑糲岩などより産するようです.

 上の標本は数年前に購入した標本です.暗色のやや緻密な玄武岩質岩(文献では安山岩質玄武岩とのこと)の空隙に,半球状の集合になった玉髄などを伴っていました.

中央の大きな結晶が重土十字沸石です.

 

 

 

 

白色部が重土十字沸石です.一部に菱沸石のような輪郭を示す部分も映っています.黄褐色―黄白色半球状の鉱物は玉髄です.

 

 

 

もこもこの玉髄の表面についている重土十字沸石です.顕微鏡でいろいろな面を,十字の双晶が入っていないかを確認しましたが,それとわかる結晶は見つけられませんでした.

 

 

 

 

 

 

以下は国産品です.

 

 

 

 

 

産地:埼玉県飯能市吾野町北川 日電鉱山(非売品).

 

 以前に関東の石友と交換した際に入手した標本です.鉱山自体はマンガン鉱床とのことで,色の濃いカリオピライトやブラウン鉱も一緒に入っていました.この石に双晶になった部分がある,とラベルに記載されていましたが,見つけることはできませんでした.母岩は泥質片岩のようで,その割れ目に生成しているような感じでした.そのあとで下の写真に写っている結晶を見つけました.横からしか写せていませんが,貫入双晶のようで,正面に映っている溝のような面が[010]面と[001]面がなんとなく判別できました.柱面に直角の方向からみると十字型をしているのかもしれません.

 

別アングルからも撮影しようと試みましたが,うまくいきませんでした.

 

もうひとつ.

産地:東京都青梅市駒木二丁目.(非売品).

 

 こちらは購入した標本です.この標本のほかに白丸鉱山の重土十字沸石もありましたが,結晶が細かく撮影に適していないと判断しました.古い字体のラベルがついていて,「この産地の石は微小で,採集には骨が折れます.一日やってもこんなもの数個です」とありました.地図で確認すると団地になっていて,消滅したのかあるいは未だどこかで産しているのかは,土地勘が無く不明です.

 母岩は黒色の頁岩を切る石英脈に伴う重土十字沸石で,別の面の石英脈の空隙にマッチ箱のような重晶石がついていたので,バリウムに富む岩石なんだろう.その黒色頁岩と石英脈との境界のようなところに滑ったような痕跡があって,その面に細かい結晶がついていました.結晶面が確認できるようなものは小さすぎて判別できませんでした.

 


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