研磨石
いくつかの研磨した石237
奈良県吉野郡川上村中奥 奥吉野鉱山滝の上南鉱床のカリオピライトからなる低品位鉱石を一面研磨しました.当地へは過去1回訪問しましたが,見栄えのする石が無く,サンプルで購入した標本の裏を一面研磨しました.
未研磨の面です.
(研磨)カリオピライトにテフロ橄欖石に方解石などを含む石で硬い鉱物は含まれてなさそうなので,一気に磨り上げました.計6㎜近く磨ったのですが,下の方からハウスマン鉱のレンズが出てきました.仕上げははじめに1000番手のペーパーで磨った後に,黄白色の砥石でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
黄白色・黄褐色・赤褐色・茶褐色・暗褐色部はカリオピライトです.白色脈中の淡桃色は菱マンガン鉱.4枚目の白色の脈は方解石でした.
2枚目の写真の上の方に写っているレンズ状のハウスマン鉱の拡大です.茶褐色の集合の中に黒色粒状の鉱物が入っています.周囲の灰緑色部はテフロ橄欖石です.
研磨面のごく一部に鱗片状のカリオピライトが観察できるところがありました.かなり小さいですが,六角板状のような輪郭を示す粒が観察できました.
層状になったカリオピライトの拡大です.白色部は石英でした.
赤褐色―暗褐色に見えるカリオピライトのレンズを拡大しました.一部にネオトス石のような非晶質に近い鉱物が入っているようで,独特の光沢がありました.
不定形の菱マンガン鉱が入っている部分の拡大です.
こちらは未研磨面の拡大です.中央の脈はばら輝石に少量の菱マンガン鉱からなっていて,赤褐色部はカリオピライト,灰緑色部はテフロ橄欖石です.白色の脈は方解石.黒色部は二酸化マンガンによる染み.
風化したのか,凹んだ方解石脈の拡大です.一部に菱マンガン鉱が含まれていたらしく,二次的に二酸化マンガンの鉱物に変わっていました.赤褐色―茶褐色部はカリオピライト.
各部位の指示はこんな感じになりました.