いくつかの研磨した石226
山口県萩市佐々並鉱山の灰重石を含む銅鉱石を一面研磨しました.白く写っているは修正液で,ここにいつもは鉱山名を記入しています.塗った後で気が変わって一面研磨したので,写っています.
学生時代に雨に濡れながら訪問したときにサンプリングした標本です.学生時代の鉱山訪問はどういう訳か雨によく降られました.今はほとんどありません.
未研磨の面.
(研磨)灰重石が入っているので,案外軟らかいと踏んで磨り始めました.母岩が緑泥石化しているので,早く磨りあがりました.軟らかい鉱物の集合は仕上げの為の砥石を選ぶのに難儀しました.青砥で磨ったのですが,納得いくような照りが出ず,いつも使っている黄色い砥石でも光沢が出ませんでした.研磨チャートもやってみましたが,細かい傷がつくだけで光沢は出ませんでした.もっと柔いもので..聖長鉱山の滑石でやってみました.滑石の集合している部分では,ほぼ変わりませんでした.そこで似た鉱物の組成の石で肉眼で均質に見える蛇紋岩で磨ってみました.黄色っぽい蛇紋岩でかなり分解しているらしく粉っぽくなっていました.廃棄する前にこれで試しに磨ったところ,光沢が出てくれました.粉っぽい蛇紋岩はこのまま廃棄せず,砥石として残すことにしました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
磨る前はわかりませんでしたが,輝コバルト鉱を含んでいました.立方体の断面で正方形に見える金属光沢部分が輝コバルト鉱です.それに伴う黒色っぽい金属鉱物は,当初は閃亜鉛鉱と思っていたのですが,光沢が若干閃亜鉛鉱とは感じが異なるように見えて,別の何かの鉱物かもしれません.小さすぎて判別できませんでした.黄銅色は黄銅鉱です.
こちらはアイキン鉱の含まれている部分の拡大です.この集合の中で一番軟らかいのか,うまく磨りあがりませんでした.
灰重石を含んでいる部分の拡大です.淡黄白色―白色の磨りガラスのような部分が灰重石です.
灰重石が含まれていますので,あまりしたくないのですが,光源を短波紫外線灯に替えて,顕微鏡撮影しました.
青白く蛍光している部分が灰重石です.最後の写真の中央に黄色く蛍光しているように見える部分は,未蛍光で観察したときは黄銅鉱でした.黄銅鉱が蛍光するというのは聴いたことがありません.何か別の鉱物かもしれません.