いくつかの研磨した石224
高知県南国市黒滝 穴内鉱山松株本坑鉱床の曹達南部石脈を含む低品位マンガン鉱を一面研磨しました.以前に上の石を成形した時に出た,ほかの標本をXRDで検査したところソーダ南部石になりました.暗褐色の母岩を切るヒョロヒョロっと入っているオレンジ色の脈は南部石と以前から,伺っていました.XRDにかけた標本以外に木っ端がいくつか出て,上の石はその一部です.比較的平坦な面が出ていたので,その面を一面研磨しました.
(研磨) カリオピライトを主体としているので硬いのを承知で磨り始めました.写真の下の方に入っている角礫状になったチャートの部分が特に硬くて思った以上に時間がかかりました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
黄白色—橙色の脈の部分がソーダ南部石です.褐色―赤褐色ガラス光沢部はカリオピライト.赤いのは紅簾石.白色は菱マンガン鉱.
ソーダ南部石の細脈になったところの拡大です.中上部の三角形に近い輪郭の部分で周囲の赤い部分が紅簾石,橙色に見える中央は斧石系の鉱物です.
ソーダ南部石の部分の拡大.顕微鏡的にマースター石のような種が共存しているかもしれません.
ソーダ南部石の太い脈から分泌する細い脈に黒色柱状の鉱物が入っていました.鏡下では光沢がやや強く感じたのですが,写真ではうまく生かせませんでした.共存する白色部は菱マンガン鉱.
紅簾石の多い部分.
含マンガン緑簾石なのか,やや色がくすんだ紅簾石.
チンゼン斧石―マンガン斧石系の鉱物の脈の拡大.紅簾石の中に入っているように見える黄色―黄褐色鱗片状の鉱物が入っていますが,小さすぎて判りませんでした.バニスター石のような種かもしれません.