一昨日行った掛橋谷山と鴨瀬谷山で中断してましたが、再開です。
穴内ダムの脇にちょうど2台分駐車できて、向かいの谷に入っていく。過去2回ともに夏場で、強烈なヤブに見舞われたが、今回は枯れた雑木だけでイバラにも悩まされなかった。(とは言っても入り口はイバラがあったが)
ここには塊状の紅簾石が出ている。西方の鳳の森坑から報告されたストロンチウム緑簾石とは見分けがつかない。塊状の一部分には晶洞の空隙を方解石で埋めているものがあり、塩酸で処理すると下の写真のような結晶が見られることもある。
この塊を切ってくる脈にオレンジ色のヒョロヒョロした細脈が入ってきていて、以前にXRDで確認したところ南部石だった。ある程度の塊になっていると、ふつうの菱マンガン鉱であることが多く、南部石は少ない。
南部石脈や石英脈の入った紅簾石の一部分があずき色に変質していて、割れ目にパンペリー石様鉱物やオホーツク石の様なものも見られる。一番多くみられるのは、黄褐色から赤褐色、赤色、黒褐色、などの様々な色を呈するカリオピライトで、緑黒色の土佐石を伴っている。土佐石というのは、少量のマンガンを含むグリーナ石(Greenalite)で今は亜種変種扱いになっている。このカリオピライトに伴って黒色の重いブラウン鉱が比較的みられる。かたくて重いこの黒い石が主要鉱石鉱物でその他の鉱物は低品位鉱石となる。(鉱物の鑑定のため下に、昔採集したものも含めて写真を掲載しておくので参考にしてもらいたい)
みんなズリに散らばり思い思いの場所でハンマーをふるっていた。筆者のお目当てはやはり紅簾石の塊で、前回来た時も今回もなかなか見つからなかった。入り口に入ってすぐのズリはブラウン鉱・カリオピライト・菱マンガン鉱・土佐石中心のズリで、前回来たときと同じ場所(奥のズリ)でようやくお目当てのものを見つけることができた。一般的にここの鉱物は難しいので、不明鉱物の鑑定に呼び止められる。色で惑わされるカリオピライトが一番多かった。以前に採集したもののうち辰砂や粒状の黄銅鉱や黄鉄鉱などの硫化物は、今回見つけられなかった。そのうちにズリで長居していたわけではなかったが、すぐに時間が経つようで、各々昼食をとるために車に戻っていった。
久々の四国にて3 に続く。
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今回採取し、塩酸で処理した紅簾石。塩酸で処理後、母岩が腐ってこないようにどれだけ有効かは分からないが、熱重曹水で中和しておいた。画像の中の白色は溶け残った方解石、黄色部はマンガン斧石~チンゼン斧石系鉱物。
(画像大きさ縦横ともに約1cm)
マンガン斧石~チンゼン斧石系鉱物。以前の採集のもの。短波紫外線で赤く蛍光する方解石に伴っている当鉱山では古来有名なもの。方解石に直接伴っているためマンガン斧石と思われる。(画像の大きさ縦約4㎝、横約5㎝)
ブラウン鉱(Braunite)。前回採集したもの。黒色部がブラウン鉱でズリの東隣の林道を詰めていった所にある坑口のズリで見つけたもの。周囲の赤褐色~黄褐色部はカリオピライト。(画像の大きさ縦約5cm横約7㎝)
土佐石Tosalite(マンガンを含むグリーナ石)。これは初めて穴内鉱山に来たときにフキナロ坑で採取したもの。ピンク色~白色の脈は菱マンガン鉱。緑黒部が土佐石。赤褐色~黄褐色部はカリオピライト。(画像の大きさ縦約3cm横約5㎝)
「南部石」 肉眼でナトリウム主成分かリチウム主成分かはわからない。この石の片割れをXRDで南部石と確認している。上部の白色部は方解石、くすんだ赤色は紅簾石。(画像大きさ縦約3㎝横約5cm)