鉱物の顕微鏡写真96
―カルノー石―
産地:Mashamba West mine,Kolwezi mining district, Lualaba,
Democratic Republic of Congo.(非売品)
Carnotite カルノー石
[組成] K2[UO2|VO4]2・3H2O
[結晶] 単斜晶系.自形は板状.多く土状.
[色] 灰白色・黄色・灰黄色・黄灰色・緑黄色.
[光沢] 絹糸光沢~油脂光沢.
[モース硬度] 2~2.5
[比重] 4.7~4.95
[劈開] {001}に完全.
[条痕] 黄色.
酸に可溶.放射能アリ.
次はカルノー石にしました.ウランの鉱物は黄色や橙・緑色など華美な色彩の鉱物が多く,目を楽しませてくれますが,当然に放射能が出ているので,敬遠してしまいがちです.ウランの鉱石になる鉱物の一つで,当然ウランを含んでいます.写真の標本は知人からの恵与品ですが,あまり肉眼で観察したくないくらいの放射能が出ています.堆積性ウラン鉱床や変成ウラン鉱床などから産し,堆積性ウラン鉱床より木片や炭質物に吸着されたりして産します.
上の写真の黄色いところや黄緑色の板状の部分がカルノー石です.周辺にある水色ないし青緑色部は珪孔雀石です.
黄色板状の部分がカルノー石です.
淡褐色―灰白色(右の脈状に見える部分)は方解石です.
珪孔雀石が鉱染しているのか,緑色味を帯びたカルノー石の集合です.ウラン鉱物の量が多いと放射能は多く検知されるようで,この石を測定したところ下のようになりました.
石が小さい割に結構出ているようです.ガイガーカウンターは震災の時に新調しました.以前にあったソ連製は液晶の部分が逝かれてしまい,お釈迦になってしまいました.
以下,ほかの産地のカルノー石です.
産地:Monument No.2 mine, Monument No.2 channel, 2.2km southern of
Yazzie Mesa mountain, Cone valley mining district, Apache county,
Arizona, USA.(非売品)
いわゆる「イエローケーキ」と呼ばれる堆積性ウラン鉱石です.砂岩を膠着する物質の一部として含まれているもので,この石はカルノー石のほかに赤っぽい黒色のラウヴァイト(Rauvite)と黒色放射状のフェルヴァイトなどを伴っていました.
以下,国産の標本です.
産地:鳥取県東伯郡三朝町神ノ倉 東郷鉱山神ノ倉鉱床(非売品)
国産の標本です.チップになった,珪化木の表面についていたカルノー石です.母岩は蛋白石や石英に置換されているが樹木の模様が観察できます.元ラベルに「ボルトウッド石」を伴っていると記載がありましたが,密に伴われているものなのか,あるいは別の部分に単体でついているものなのかがはっきりとしませんでした.黒色部は炭質物でコフィン石のような初成のウラン鉱物が含まれているようです.標本は黄な粉を吹いた細かい木片の集合のように見えましたが,どういう訳は国産のこの手の標本は放射能が弱い傾向にあるようです.
木片が観察できる部分の拡大です.上の方が若干,木蛋白石のようになっていました.