案外,無い鉱物7
―ローゼンハーン石―
産地:高知県高知市蓮台.(非売品)
いろいろな日本産鉱物種の文献で,どんな石がさっぱりわからない鉱物が数種類は確実にあり,その中の一つです.随分前に売り立て会で購入した標本です.元ラベルに珪灰石と記載されていて,あとで判ったのか珪灰石を二重線で消して,その上にローゼンハーン石と記載されていました.
母岩は斑糲岩質なのか黒っぽい岩石で白色半透明のペクトライトの脈に切られていました.そのペクトライトをさらに切っている白濁した針状の鉱物がローゼンハーン石とのことでした.矢印は振ってありましたが,繊維状の部分から若干それていて,判別できませんでした.
その後に知人に見てもらったところ,繊維状の部分が,それ だということが判りました.
裏面.
下の二枚は顕微鏡下での撮影です.
ローゼンハーン石はCa3[Si3O8(OH)2]という組成の鉱物で,珪灰石に水を足したような感じです.劈開はあるようですが,この標本では風化しているのかはっきりしませんでした.弱いガラス光沢で,にわかに黄色味を帯びた白色の繊維状で,そのほかにあまり特徴の無い鉱物でした.
ほかの文献でUVライトで蛍光があるとの情報で,一応,照射してみましたが,蛍光が弱く,にわかに黄緑色―黄白色に蛍光しました.周りのゾノトラ石やペクトライトのほうが赤く蛍光するのがあって,白色繊維状のほうはそれより目立たなかった.
蛍光写真です.赤い蛍光はこの裏側に少しありました.黄色―青緑色部が繊維状のローゼンハーン石のようです.
今回の写真はローゼンハーン石のラベルの書き換えに伴って,接写と顕微鏡下で撮影しました.