鉱物の顕微鏡写真84
-Warwickite ワーウィック石-
産地:Nuestra Señora del Carmen mine, La Celia,Jumilla,Murcia,Spain.
(非売品)
Warwickite ワーウィック石
[組成] MgTi[O|BO3]
[色]:灰黄色・黄白色・淡褐色・黄褐色・赤褐色・黄橙色・赤橙色・茶褐色・
暗茶褐色・暗褐色・黒色.
[結晶]:直方晶系.板状・針状・毛状になる.
[光沢]:ガラス光沢~絹糸光沢.
[モース硬度]:5.5~6,脆い.
[比重]:3.34~3.36
[劈開]:{100}に完全.
久々の顕微鏡写真シリーズです.今回は硼酸塩鉱物にしました.
マグネシウム(Mg) とチタン(Ti) 主成分の硼酸塩鉱物です.本邦でも小藤石を含むドロマイトスカルンよりルドウィヒ石の延長のような微細な本鉱を産しています.
原産地の産状も同様にスカルン中に,黄白色―黄緑色粒状のコンドロド石(Condrodite)とともに産し,黒色板状をするようです.
上の標本は6年くらい前に購入した標本です.全体が赤褐色のように見える.
母岩はランプロアイト(lamproite)というカリウム(K)とマグネシウム(Mg)の多く,金雲母を多く含むという特徴があり,やや多孔質な岩石です.
ワーウィック石はその母岩の孔の中に褐色系の色を呈する針状ないし毛状をしていました.
以下,顕微鏡下での観察です.
黄褐色―赤褐色系の針状部がワーウィック石です.上の方の針状結晶は表面に二酸化マンガンが被覆しているらしく,小片を過酸化水素水の中に入れると発泡しました.共存する黄白色部は粘土鉱物,白色ガラス光沢部は鱗珪石です.
やや太い結晶をみつけましたので拡大しました.赤褐色―黄褐色系の針状結晶がワーウィック石です.黒色は二酸化マンガンによる被膜.
さらに拡大したものです.
この産地のランプロアイトの孔の中には,ワーウィック石以外にもいくつか含まれていましたので,ついでなので写真に撮ってみました.
弗素金雲母(Fluorphilogopite). 孔の中でかなりの量が含まれていました.黄褐色系のクリアな結晶をしていました.下の方の黒色板状は赤鉄鉱です.
擬板チタン石(Pseudobrookite). ワーウィク石の入っている孔の近くにはあまり無く,一つ見つけると周囲にたくさん出来るようで,良晶を探すのが楽でした.赤褐色―茶褐色系の色を呈しています.
擬板チタン石の濃集部です.周囲に黄色の鉱物を伴っていました.
黄色い鉱物は透輝石のようです.縦に条線が入っているものは弗素リヒター閃石とのことでした.