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いくつかの研磨した石195

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いくつかの研磨した石195

 和歌山県西牟婁郡白浜町三段 鉛山鉱山の閃亜鉛鉱を一面研磨しました.以前に京都ショーで購入した標本です.基本的にあまり出回ることのない現場の鉱石標本で,ラベルの産地を見て,すぐに購入した.

 鉱床は平草原の展望台の南側の谷,県道34号の鉛山橋の下の川の上流にあって,元ラベルには「中新統田辺層群の堆積岩中の鉱脈鉱床」と記載があった.鉱床は1558年~1586年ごろに発見されたと伝わるが,それ以前から採掘されたのかもしれない.昭和30年代にも採鉱されていたそうだ.

 標本は長方形に近い形に割れているが,座りが悪かったので裏面を一面研磨しました.

標本の正面です.

 

(研磨)見た感じ雑鉱の集合でしたので,ひとまず磨ってみることにした.石英が入っていましたが,金属鉱物の量が多く案外簡単に磨れてくれました.仕上げは青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

 

 標本名の通り,鉄黒色亜金属光沢を呈する閃亜鉛鉱が占めていました.

 

閃亜鉛鉱の多いところを拡大しました.鉄黒色が閃亜鉛鉱です.真鍮色部は黄鉄鉱.橙色部は菱鉄鉱のような炭酸塩鉱物のようでした.灰白色―帯黄白色は石英でした.

 

閃亜鉛鉱のほかに方鉛鉱が入っていました.その部分の拡大です.帯青鉛灰色金属光沢部が方鉛鉱です.真鍮色部は黄鉄鉱です.

 

黄鉄鉱ばかりかと思っていたら黄銅鉱もありました.共存する鉄黒色部は閃亜鉛鉱です.

 

黄鉄鉱の多い部分の拡大です.この部分に磁石を近づけると,よく引き寄せられた.若干の帯紅真鍮色があり磁硫鉄鉱を混入しているようでした.鉄黒色部は閃亜鉛鉱です.

 

 南紀の堆積岩中を切る鉱脈鉱床の鉱石はどういうわけか,硫酸鉄を吹いて分解しやすい傾向があるようで,この石もいつまでもつかわかりません.

 

 

 

 


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