いくつかの研磨した石194
兵庫県朝来市多々良木 多々良木鉱山の斑銅鉱―方鉛鉱―閃亜鉛鉱からなる鉱石を一面研磨しました.多くの鉱物種を産している生野鉱山から10㎞程北上したところにある雑鉱の鉱山です.古くは銀を産した鉱山のようで,大量のズリが残っていました.
上の標本は15年くらい前にサンプリングしました.石英脈に伴われる高品位そうな銅鉱をサンプリングしたのですが,もう少し大きなのをサンプリングしておけばよかったと少々後悔しています.サイズは60㎜×45㎜の箱に入る程度の大きさです.この標本の裏面の一部を研磨しました.
(研磨)石英が占めているので硬い,というのを前提に磨り始めました.はじめは少々磨り辛いかな~っと思っていましたが,母岩が変質して蝋石質になっているようで,案外早く磨れました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡下での拡大写真です)
方鉛鉱と閃亜鉛鉱に斑銅鉱,少量の黄銅鉱が入っている集合でした.母岩の暗緑色でボヤーっとしているのは緑泥石のようです.また灰黄色の染みのような鉱物が全体に入っていて,ビスマスか何かの二次鉱物かと思っていましたが,別の面を観察したところ緑簾石でした.
更に拡大した写真です.鉛灰色金属光沢を呈する方鉛鉱を拡大しました.たまに方鉛鉱を磨っているときに濃紅色の濃紅銀鉱が入っていることがあるので,拡大して写真に撮ってみました.この石には入っていないようです.
こちらは黄銅鉱が入っている部分をさらに拡大した写真です.黄銅色金属光沢部は黄銅鉱,鉄黒色部は閃亜鉛鉱.
こちらは閃亜鉛鉱の多い部分を拡大しました.鉄黒色部が閃亜鉛鉱,暗赤銅色部が錆びる前の斑銅鉱.黄銅色は黄銅鉱.
斑銅鉱の多い部分の拡大写真です.繊維状に見えるのは取りきれなかった研磨の時の傷です.細かい黄銅色の黄銅鉱を含んでいて,二次的に富鉱化し斑銅鉱に置き換わったのだろう.周囲に銀白色でやや光沢の鈍い鉱物が付いていますが,小さすぎて判別できませんでした.
斑銅鉱に接する方鉛鉱の拡大です.何か別の鉱物が入っていそうなので拡大しましたが,肉眼で判別できるような鉱物は入っていませんでした.
多少光沢の異なる方鉛鉱の一部を拡大しました.研磨面では無い面で詳しく観察していると,似たような産状で輝蒼鉛鉱が入っていました.上の写真の上部の方に入っている針状に見える鉱物は輝蒼鉛鉱かもしれない.
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