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鉱物の顕微鏡写真74 ―エルピド石―

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鉱物の顕微鏡写真74

エルピド石

 

 

 

産地:Vøra, Vesterøya, Sandefjord, Vestfold, Norwey.

 

Elpidite  エルピド石

[組成] Na2Zr[Si6O15]・3H2O  

[結晶系] 直方晶系.結晶は柱状.柱状結晶が束状および放射状に集合する.

[色]:無色・白色・灰色・黄白色・黄灰色・淡紅色・灰桃色・橙色・茶褐色・赤褐色.

[光沢]:亜ガラス光沢・油脂光沢・絹糸光沢.

[モース硬度]:5

[比重]:2.52~2.62

[劈開]:{110}に完全.

[条痕]:白色.

 

 

  久々の顕微鏡写真の更新です.写真の処理が時間がかかってしまうため,どうしても後回しになってしまいます.どうせ掲載するなら写真はキレイな方がいいので,凝って凝って撮っています.

 

 標本は10年位前に,大阪で知り合いの業者が,「いっぱい鉱物入ってるで~」って言われて購入した石です.当時は国産・海外を問わず手あたり次第蒐集していましたので,抵抗なく購入していました.霞石閃長岩質ペグマタイト中のエルピド石です.現場は資料によると半島の先端近くにある2本の閃長岩質ペグマタイトが露出している露頭だそうです.

 当初は手あたり次第に集めていた標本ですが,その後に霞石が判定できずに困ったことがありました.霞石閃長岩なので,当然霞石が入っているのですが,当時は霞石がどういう鉱物なのかが,まったく判別できませんでした.霞石を区別するのに,いろいろな産地の霞石閃長岩質ペグマタイトの標本を入手しました.その甲斐あっていまは何とか区別できるようになりました.上の標本はその練習用の標本の一つになりました.

 

標本の裏側の写真です.

 

 

(以下は顕微鏡下での拡大写真です)

 

エルピド石.黒色柱状のエジリン輝石を伴っています.

 

束状になった根っこの部分.黒色柱状はエジリン輝石.

 

劈開が発達した部分の拡大です.黒色はエジリン輝石です.

 

こちらは共存しているエジリン輝石(Aegirine)です.透明感のあまり感じられない黒色柱状をしています.

 

長石に埋もれるやや細いエジリン輝石の結晶が集合した部分です.濃緑色であることが判ります.灰褐色部はエルピド石.

 

エジリン輝石の劈開の出ている部分の拡大です.右に橙色のエルピド石が接しています.どういう訳かこの大きなエジリン輝石は結晶が曲がっています.

 

こちらは同一標本内に共存している星葉石(Astrophyllite)です.見た目,本邦でも見られる吉村石に似ています.黄褐色―褐色の光沢が強い板状をなしています.黒色柱状はエジリン輝石.

 

星葉石.

 

こちらは元ラベルにトリトマイト(Tritomite (Y,Ca,Ce,Fe)5[OH|((Si,B)(O,OH)4)3])とありました.元ラベルにはそうあったのですが,別の資料にはグループ名でパイロクロアとあり,元ラベルを信用しました.メタミクト化しているのか暗赤褐色―黒褐色ガラス光沢部がトリトマイトです.緑黒色柱状はエジリン輝石です.

 

更に拡大した写真です.黒っぽく見えても内部は赤褐色を呈しているようです.一応,ガイガーカウンターで放射能を測定しましたが,検出以下でした.

 

 ほかに灰白色―灰緑灰色塊状の霞石があったのですが,ほかの部分との境界が曖昧で,色も灰色に近く光沢も写真に撮って判別できる感じがしないため,割愛しました.

 それから,エジリン輝石の細かい結晶が集合した部分に,かなり小さい蛍光するカタプレイ石を確認しました.これも蛍光写真を試みましたが,小さすぎて断念しました.肉眼的には結構な大きさに見えるのですが,実際にカメラで撮ってみたら,よく判りませんでした.

 

標本の各部位はこんな感じになりました.

 

 


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