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いくつかの研磨した石186

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いくつかの研磨した石186

 岩手県宮古市上根市 第二根市鉱山のドロマイトスカルンを一面研磨しました.たまたまほかの石を値付けしていた時に,元ラベルに「ヒューム石」と記載があって矢印がつけられていました.類似の単斜ヒューム石やコンドロド石,ノルベルグ石とほとんど見分けが付きませんでした.

 これでは問われたときに返答に困るので,海外のサイトや文献に頼って色々調べてみましたが,単斜ヒューム石とヒューム石の見分けは無理でした.コンドロド石だけが色が濃く,柱状になるのはあまりなく,ずんぐりとした粒になる傾向があるようで,産地によっては指標になりそうでした.

 そこで,手元にあるほかの標本を研磨してほかに指標にでるきような傾向は無いものかと,磨ってみました.標本は10年以上前に池袋のショーでサンプル購入したものです.

標本の裏面はこんな感じです.

 

(研磨)基本的には炭酸塩の集合に少量のケイ酸塩が混じっている程度なので,一気に磨り上げました.仕上げははじめに黄白色の砥石でしていたのですが,思うように光沢が出ず,青砥でも出ませんでした.中途半端に風化したホルンフェルスで光沢が出始めたので,逆に硬いチャートで磨ると光沢が出てくれました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です.)

 

 

 

 

輪郭のはっきりしない黄色の部分は苦土橄欖石でした.硬度があるらしくこの部分が反射がありました.白っぽい部分はドロマイトスカルンの母岩.黄色く輪郭のはっきりしているのがヒューム石グループの鉱物です.海外のサイトなどを参考にしていると,類似のいくつかの鉱物は,ほぼ色では判別できないようです.

 

 

この集合で肉眼で分かりそうなのは,上のスピネルくらいでした.磁力のない磁鉄鉱のようにみえ,八面体の微細な結晶になっているのもありました.顕微鏡で拡大すると,内部に黒色の内包物があるようで,色の濃いところと薄いところが顕著な粒もありました.また八面体の結晶に接して,黒い短冊状の鉱物ができているところもありました.この産地では似た外観の硼酸塩のルドウィヒ石の算出が知られていますで,これかもしれません.

 

 

 

 

 

 


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