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いくつかの研磨した石172

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いくつかの研磨した石172

 兵庫県宝塚市長谷 小幡鉱山の銅亜鉛鉱脈を一面研磨しました.8年ほど前の冬にサンプリングした標本です.現場は多田銀山で知られる銀山親鉉の北西に派生したところにありました.多くの鉱床は猪名川町にありましたが,小幡鉱山を含め,ススメ谷間歩・カミタニ間歩・芝辻鉱山(未確認)・駒宇佐鉱山・大水抜鉱山(未確認)・千本鉱山(上部の旧坑のみ確認済み)は宝塚市に属します.柿ノ木鉱山などの猪名川東部の鉱床を除いて有馬層群の流紋岩および流紋岩質凝灰岩中の鉱脈鉱床のようです.

 

 

坑口.半分以上埋まっていた.

 

 

 標本の正面.

 

 標本は前述のとおり8年ほど前にサンプリングしました.表面に緑色の珪孔雀石が鉱染したような外観の石で,白色の石英脈中に微細な安四面銅鉱・黄錫鉱・閃亜鉛鉱などが肉眼で判りました.脈石は石英のほか方解石・緑泥石・氷長石などで,母岩と石英脈の境界付近はやや粘土化していました.

 二次鉱物は白鉛鉱や青鉛鉱があり,珪孔雀石が鉱染する部分の割れ目には自然銀も入っていました.研磨は破面の出ていない二次鉱物で覆われた裏面を一面研磨しました.

 

(研磨)表面は一面に珪孔雀石ないし孔雀石からなっていましたので,この部分のみ軟らかく,それより下が石英と変質した凝灰岩なので硬いと予想しました.

 二次鉱物の部分は少し磨ったら取れました.その下から石英が出てきました.硬いのは承知の上で磨っていきました.母岩の凝灰岩はかなり変質しているようで,案外軟らかく比較的短時間で荒研ぎを終えました.中砥ぎで表面を滑らかにした上で,仕上げは青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

 

 

 

閃亜鉛鉱の拡大です.磨り始めてすぐくらいに出現しました.磨っているうちに表面がやや錆びてしまいました.上のほうにある黄色は黄銅鉱.

 

黄銅鉱を核とするように周りに閃亜鉛鉱が取り囲んでいる部分がありましたので,拡大してみました.周囲の緑色部は珪孔雀石の鉱染.

 

黄錫鉱が少し入っていましたが,かなり小さく手持ちのデジカメのズームでは限界でした.白っぽく写っていますが肉眼ではもう少し黄色味がかっています.

 

 

 

 

標本の表面についている鉱物も拡大してみました.

安四面銅鉱.銀白色金属光沢部が四面銅鉱です.帯赤鋼灰色金属光沢は斑銅鉱が錆びたもの.黄銅色は黄銅鉱です.

 

青鉛鉱.この地域では非常に良く見られる二次鉱物ですが,当地ではあまりありませんでした.背後の金属鉱物の集合には肉眼的な鉛の鉱物は見つけられませんが,微細なものが入っているのでしょう.黒色金属光沢部は主に閃亜鉛鉱.

 

自然銀.標本の元ラベルにも自然銀と書いていて,のちに黒く錆びてしまった.かなりの肉眼的なサイズでしたので,敢えて矢印はふっていませんでした.磨りあげてから確認すると,見つけるのに時間がかかりました.

 

 

 当地では自然銀・自然銅?・輝銅鉱類・斑銅鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・黄鉄鉱・黄錫鉱・褐錫鉱?・安四面銅鉱・ホタル石・石英・赤鉄鉱・褐鉄鉱・方解石・孔雀石・水亜鉛土・白鉛鉱・ブロシャン銅鉱・石膏・緑鉛鉱・異極鉱・珪孔雀石・アロフェン・粘土鉱物・氷長石などが見られました.

 

 

 

 

 

 

 

 


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