いくつかの研磨した石171
岐阜県岐阜市奥掛洞 網代鉱山のアレガニー石からなるマンガン鉱を一面研磨しました.現場は岐阜市の北部にあるプラント(ごみ処理施設)の背後の山にありました.10年くらい前に訪問したことがあり,汚い緑マンガン鉱をサンプリングした記憶があります.上の標本は当方の産地情報をもとに訪問された方よりお土産で頂戴しました.元ラベルに「パイロクスマンガン石」とありましたが,大部分がアレガニー石でしたので,変えた経緯がありました.
研磨は裏面が一面に二酸化マンガンの酸化被膜で覆われていたので,この面を研磨しました.
(研磨)基本的に炭マンなので,柔らかいと踏んで一気に磨り上げました.「ばらき」の系統の鉱物はやはり入っていませんでした.主に菱マンガン鉱とアレガニー石でした.仕上げは#2000で磨ったうえ,青砥でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
菱マンガン鉱の多い部分です.赤褐色の粒状の鉱物が入っていますが,小さすぎて判別できませんでした.濃い桜色の部分はアレガニー石です.
白色脈に近い部分の拡大です.淡紅色は菱マンガン鉱,濃い桜色はアレガニー石.白色の脈は短波紫外線灯で赤色に蛍光するマンガン方解石でした.
白色の脈の部分の拡大です.短波紫外線灯で赤色の蛍光するマンガン方解石と蛍光しない白っぽい菱マンガン鉱が共存しているようで,部分的に蛍光しませんでした.淡紅色は菱マンガン鉱,濃い桜色はアレガニー石.
淡紅色の菱マンガン鉱中によく見られた黒色の粒は拡大したところ黄鉄鉱のようでした.
波打つ脈は菱マンガン鉱でした.下の方に写っている黒色部は取りきれなかった二酸化マンガンの被膜です.
当地鉱床にはほかに,石墨(非晶質炭素物質)・緑マンガン鉱・ヤコブス鉱・ハウスマン鉱・石英・パイロファン鉱・パイロクロアイト・二酸化マンガン鉱・褐鉄鉱・菱マンガン鉱・重晶石・石膏・テフロ橄欖石・満礬石榴石・アレガニー石・リッベ石・パイロクスマンガン石・ネオトス石などがみられました.