いくつかの研磨した石167
京都府船井郡京丹波町下山 木の谷鉱山の菱マンガン鉱からなる鉱石を一面研磨にしました.上の標本は3年ほど前の新春交流会でサンプル購入した標本です.標本は菱マンガン鉱の劈開が観察できる面を上にしてあり,裏面は広く二酸化マンガンの酸化被膜で覆われていました.この酸化被膜で覆われていた面を一面研磨しました.
標本の木の谷鉱山は京丹波町下山と南丹市日吉町胡麻との境界付近にある層状マンガン鉱床です.近くに最近できたダムの周回道路ができれば容易に近づくことができる現場ですが,未だに周回道路はできていません.主に二酸化マンガンを稼業したそうで,若干の炭マンもあったそうです.
(研磨)基本的に炭マンなので軟らかく,肉眼的にも硬い石英などの鉱物がみられませんでしたので,一気に磨り上げました.パイロクロアイトが酸化してファイトクネヒト鉱を生じたと思われる暗褐色のレンズを含んでいて,この部分が極端に柔らかいので,平滑に磨るのに苦労しました.
仕上げははじめ青砥で磨っていたのですが,思った以上に光沢が出てくれず,黄白色の砥石に替えて磨っていましたが,こちらもうまくいきませんでした.ならば硬い中途半端に風化したホルンフェルスで試すと,納得できる光沢になってくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
パイロクロアイトから変わったファイトクネヒト鉱からなる部分の拡大です.淡いピンク色の菱マンガン鉱を伴っています.仕上げに砥石で磨りましたが,この部分はかなり柔らかいので磨った時の傷が消えませんでした.ここだけ少し凹んでいます.
菱マンガン鉱からなる部分の拡大です.細かい黒色部が入っていて,閃亜鉛鉱などの金属鉱物かと思っていましたが,非晶質の炭素物質でした.白色の部分,淡桃色の部分はいずれも菱マンガン鉱.
非晶質の炭素物質を含む菱マンガン鉱からなる部分から茶褐色の不定形塊状物質を含むアレガニー石・菱マンガン鉱の部分との境界付近を拡大しました.
アレガニー石・菱マンガン鉱に茶褐色不定形塊状物質を含む部分の拡大写真です.灰桃色部がアレガニー石です.テフロ橄欖石を含んでいそうと研磨中に予想していましたが,肉眼的なテフロ橄欖石は含まれていないようでした.
アレガニー石・菱マンガン鉱に茶褐色の不定形塊状物質を含む部分をあとから切ったように入っている菱マンガン鉱の部分の拡大です.細かい黒色の鉱物があり,顕微鏡で最大まで拡大しさらに,手持ちのデジカメで拡大したところ,黒色の鉱物は閃亜鉛鉱でした.ほかに細かい黄鉄鉱も入っていました.
磨っているときに気づかなかった灰緑色の閃マンガン鉱を含むアレガニー石・菱マンガン鉱からなる部分の拡大です.周囲に黒色に見える細かい黄鉄鉱を伴っていました.褐黒色部は二酸化マンガンの染み.
灰緑色の閃マンガン鉱の拡大写真です.もう少し品のある鮮やかな緑色で針状なら,ほかの稀産鉱物の可能性もありましたが,これは閃マンガン鉱でした.
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