いくつかの研磨した石161
京都府宮津市小田(字)寺屋敷の蛇紋岩中に挟まるロジン岩を研磨しました.先週頃に訪問した,ロジン岩の露頭の下にある側溝に転がっていた,ロジン岩をサンプリングしたものです.表面は泥だらけでしたが,蛇紋岩の一部が見えていました.表面を水洗いしたところ表面にキラキラするものが入っていたうえ,蛇紋岩とロジン岩の境界に灰色の岩石が挟まっていました.またロジン岩を切るようにして白色繊維状の鉱物も肉眼的に入っているのが判りました.磨るとどういう感じになるか予想できなかったため,一面研磨してみました.
研磨面ではない表面から撮影しました.黄色っぽいところがキラキラしていました.
(研磨)半分近くが蛇紋岩なので軟らかいと思い一気に磨り上げました.キラキラしていたのは灰礬石榴石で,ロジン岩の割れ目のようなところにも微細な結晶が入っていました.ロジン岩の内部には石榴石は殆ど入っていないようでした.仕上げは青砥で充分光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡写真です)
ロジン岩と蛇紋岩との境界付近の拡大写真です.蛇紋岩中の襞のようになって見える部分に磁鉄鉱が濃集していました.
肉眼判定で灰色の岩石と思っていた部分の拡大です.どうももとは凝灰岩のようで,著しく変質しているようでした.この地域で凝灰岩脈は殆ど無いようで,過去に当方で観察した現場は大江山・河守超塩基性岩体と丹波帯の堆積岩分布域との境界付近に挟まっているものでした.ここのはロジン岩中に取り込まれているため,後から切ったような脈ではなさそうです.
空隙を伴う部分の拡大です.空隙は細かい灰礬石榴石によって覆われていました.石榴石は母岩の裂罅に後から侵入し生成したもののようです.
変質した凝灰岩の岩片を含む部分の拡大です.中央の三角形はやや強いガラス光沢を呈していました.アルミ分の多い鉱物の集合体なので,スピネルのような鉱物かもしれません.ロジン岩自体の鉱物は今のところは何でできているのかはっきりしませんでした.
こちらもスピネル様鉱物を含む部分の拡大です.緑色部は単斜輝石類のようです.
帯紫褐色の部分はスピネル様鉱物です.黄灰色の部分は未研磨の部分を観察していたところ,ヴェスブ石があった.黄色の粒でしたので,これもヴェスブ石かもしれません.
こちらは未研磨のキラキラした部分の拡大です.細かいものですが灰礬石榴石です.
灰礬石榴石の集合した部分の拡大です.
同じく裂罅に生成した灰礬石榴石です.
こちらも割れ目に生成する灰礬石榴石の集合です.白色粉状部はハイドロタルサイトのような炭酸塩の鉱物のようです.
おしらせ
本日 HP通販用商品を
4点 追加更新しました.