いくつかの研磨した石162
(研磨面)
(未研磨の面)
数年前の京都ショーで購入した福岡県福津市本木 宗像鉱山のばら輝石を一面研磨しました.購入当時にばら輝石にしては重いのがずっと気になっていました.購入当初は裂罅に沿って発達した二酸化マンガンの染みが覆っていて,長方形の石を半分に割っただけの石でした.二枚目の写真のようになったのは斫り用ハンマーで根気よく成形して,上のようになりました.裏面は比較的平坦な面が出ていましたが,こちらは一面の二酸化マンガン(酸化被膜)で産地名を記入していました.
今回はこの面を一面研磨しました.
(研磨)全体的にばら輝石からなる石で,黒色部も珪岩質の石に二酸化マンガンが染まったもので非常に堅いものと予想しました.実際に磨ってみるとかなり柔らかく,珪岩に二酸化マンガンが染みたと思っていた黒色部はブラウン鉱を含む比較的高品位な部分でした.帯青鋼灰色金属光沢の粒が層状になっていたり,変な方向に劈開のあるやや肉眼的な粒状をなしてたりしていました.比較的高品位なのが判ったので気を良くして,仕上げに移りました.
仕上げの過程は初めは青砥で磨っていたのですが,うまく光沢が出てくれず,もう少し硬い青砥で試しましたが,こちらもうまくいきませんでした.砂岩ホルンフェルスの中途半端に風化した砥石で,ある程度光沢を出したあとで,黄白色の砥石で磨るとなんとか納得がいく光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での拡大写真です)
ブラウン鉱が層状に集合した部分です.褐色のマンガンエジリンを伴っています.
層状のブラウン鉱の部分の拡大写真です.黄色の輝石?を伴っていました.銀白色に見える部分がブラウン鉱です.磨り上げた直後に撮影しましたので,光源の関係で黒っぽく写りませんでした.また黒色部は粒が細かくて判別できませんでした.
白色のやや粗い石英質に入っているやや肉眼的な粒のブラウン鉱の拡大写真です.帯青鋼灰色がブラウン鉱です.多少ピンク色に色づいている部分はばら輝石の混入のようです.黄色っぽい部分はマンガンエジリンです.
こちらも粗い石英の部分の拡大です.右上のほうに熱水が後から入ったのか緑泥石を伴っていました.
粒の粗いブラウン鉱と石英の部分をきる石榴石からなる脈の拡大です.石榴石はほかの部分に上の写真と同様に脈をなすものがありました.
こちらも石榴石からなる脈の拡大です.石榴石の黄色い粒とほかに白色の光沢のやや強い微粒をともなっていましたが,小さすぎて判りませんでした.
粗粒のばら輝石の部分の拡大写真です.オレンジ色はマンガンエジリン.灰緑色部は緑泥石と思われる.黒色部は二酸化マンガンによる染み.
こちらもばら輝石の部分の拡大です.
マンガンエジリンの濃集している部分の拡大です.マンガンエジリンと同じような色をした雲母状の鉱物が近くについていましたが,こちらも粒が小さすぎて判別できませんでした.
ばら輝石を切る緑色の脈の拡大写真です.緑泥石と思われますが,一部に光沢の強い粒状の部分があり,重晶石かもしれません.赤褐色はマンガンエジリン.
こちらもその緑色部の拡大です.
磨ってから気づきましたが,短波紫外線で黄色~橙色に蛍光する含砒素燐灰石が広範囲についていました.
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