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いくつかの研磨した石154

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いくつかの研磨した石154

 

 岡山県久米郡久米南町下二ケ 山手鉱山三八𨫤の黄銅鉱―閃亜鉛鉱—緑泥石―石英脈を一面研磨しました.当地の標本は#11の回で硫砒鉄鉱を含む標本を紹介しました.今回は文献を眺めていたところ,当地の上部の鉱石に銀鉱物を多く含んでいるという記述があり,急遽当地の石を探して研磨にしました. 

  山手鉱山は治部邸の北西の谷にあった鉱山で,鉱山跡地は整地され展望台などが整備されていました.上の標本は,9年ほど前に展望台に行く道との分岐の先にある,コンクリの土留めのあるカーブの谷を詰めたところの陥没坑付近でサンプリングしました.方鉛鉱がかなり入っているという印象の石でした.

研磨面では無い表面はこんな感じです.

 

(研磨)金属鉱物がたくさん入っている以外は石英に緑泥石が混入しているだけの石でしたので,磨り易いと思って磨り始めたのですが,予想以上に石英が多く,思った以上に時間がかかりました.仕上げははじめ青砥でしていたのですが,うまく光沢が出なかった.途中で黄土色の砥石に変えて磨ると光沢が出てくれました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

3枚目・4枚目・5枚目の写真は黄銅鉱が多く集まっている部分の拡大です.黄銅鉱中に帯紅真鍮色金属光沢の部分があって,磁硫鉄鉱を疑ったのですが,磁力テストで全く反応が無く,粒も小さいので不明鉱物になってしまいました.銀白色金属光沢の部分もよく伴っていますが,硫砒鉄鉱は肉眼的にこの石には入っていないようで,方鉛鉱は主に粒状で含まれていました.

 

 

 

 

 

網状脈の部分の拡大です.黄銅色金属光沢が黄銅鉱,灰白色は石英,鉛灰色金属光沢の粒状は方鉛鉱でした.灰緑色は緑泥石.

 

閃亜鉛鉱を含む部分の拡大写真です.閃亜鉛鉱はスカルンに産するもののような鉄黒色では無く,赤黒い粒状をしていました.

 

こちらは黄銅鉱に伴う褐錫石様?鉱物です.かなり小さなものでこれ以上は判りませんでした.因みに磁力はほぼありませんでした.

 

鉛灰色金属光沢の鉱物が集合している部分の拡大写真です.外形のややはっきりしているのは方鉛鉱のようで,その周りにある繊維状のように見える鉱物がありました.似たようなサンプルで色々顕微鏡観察していたところ,輝蒼鉛鉱があることがわかりました.上の写真の繊維状に見える部分は輝蒼鉛鉱かもしれません.研磨面を斜めにし光が反射するような感じで凹凸をみたところ,外形のはっきりしている部分は黄銅鉱より少しすり減っていて,繊維状の部分は外形のはっきりしている方鉛鉱よりもっと凹んでいるような感じがした.

 

 研磨に至った銀鉱物は,たまたまこの石には含まれていなかっただけかもしれませんが,入っていませんでした.方鉛鉱や蒼鉛様鉱物の集合中に非肉眼的な輝銀鉱などが含まれているのかもしれません.

 

 

 

 

 

 


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