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いくつかの研磨した石153

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いくつかの研磨した石153

  京都府南丹市園部町南八田 八田鉱山のパイロクスマンガン石からなる石を一面研磨しました.先月と今月の館報に記載のあった現場で,下見によった時にサンプリングした石です.館報記載の火薬庫は半分以上ヤブに覆われていて場所を確認するのが限界でした.ズリは当然ヤブに覆われていて農道に零れ落ちた石を見て回りました.表面は二酸化マンガンに覆われていますが,殆どが珪岩のようで,マンガンの鉱物を含んだ石はあまりありませんでした.

 丹波Ⅱ型の地層群に現場が入っているのですが,顕著な熱変成を受けているらしく満礬石榴石が珪岩中によく見られました.館報によると写真のピンク色部はばら輝石ではなくパイロクスマンガン石だったようでした.Ⅱ帯の鉱床にはあまり出現の無い鉱物でしたので以外でした.熱源はどこにあるのだろうか.

 八田の南西約1.5㎞に福竜寺という場所があり,ここに黒雲母花崗岩の石切場がありました.現場に一番近い岩体がこの現場の花崗岩なので,もしかしたら地下で接触しているのかもしれません.

 八田の峠を越えて天引峠も越えたところに福住鉱山がありましたが,産出鉱物が全く異なっています.地質図に丹波Ⅱ帯とありましたが,当地はⅠ帯かもしれません.

 上の石ですが,研磨面はいつもどおり標本の裏一面に二酸化マンガンの染みで覆われていましたので,この面を一面研磨しました.

研磨面では無い面.

 

(研磨)石榴石が含まれているのを目視で確認しましたので,かなり磨りにくいことを前提に磨り始めました.酸化被膜は二酸化マンガンの鉱物なので軟らかいのですが,すぐに石榴石の含まれている部分に当たって,硬度の差異で凹凸ができてしまいました.こうなるとこの先の研磨が非常に大変なので,ベビーサンダーで予め粗削りしました.

 ルーペで確認してから中研ぎに移りました.内部のほうはパイロクスマンガン石が多いようで,そこからは楽に磨れました.仕上げは青砥をはじめに使用し,そのあとに黄色い砥石でしました.石榴石の部分がよく反射していました.

 

(以下,顕微鏡写真です)

 

褐色の部分もパイロクスマンガン石でした.石榴石はパイロクスマンガン石の葉片状の集合の隙間に入っているようでした.右手下部から下辺に向かって切る脈は菱マンガン鉱でした.二酸化マンガンを処理するために塩酸で少し汚れを落としているときに気づきました.

 

パイロクスマンガン石の葉片状の集合の間隙に石榴石が入っていましたが,ほかの部分は二酸化マンガンの鉱物と,非晶質の炭素物質というべき鉱物も含まれているようでした.

 

 非晶質の炭素物質?と思われる部分の拡大です.黒色のもののうち,灰色がかっているのが,二酸化マンガンです.その周りの橙色粒状部が満礬石榴石でした.真っ黒の粒状部が炭素物質?と思われる部分です.

 

 こちらはパイロクスマンガン石の粒が荒い部分の拡大写真です.ピンク色部がパイロクスマンガン石です.

 

ピンク色の一番色の濃い部分の拡大です.

 

 


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