いくつかの研磨した石147
滋賀県東近江市政所町宮ノ谷 蓬谷鉱山のペーパーカルサイトからなる脈を一面研磨しました.当地は室町時代後期頃の開発とのことで,滋賀県内でも屈指の古い鉱山です.当方も谷の入口までは行きましたが,蒸し暑いのと,小雨がぱらついていたうえ,このあたりはヤマビルの大発生地ということもあって,未だに探索に至っていません.冬季はヤマビルはいそうにないのですが,鈴鹿山脈の中腹くらいのところにあり,晩秋の一時期を逃してしまうと今度は積雪で入れませんでした.上の石は数年前の新春交流会でサンプル購入しました.見た目は白色のペーパーカルサイトあるいは牡蠣殻状方解石で,肉眼で判別できる磁硫鉄鉱と硫砒鉄鉱が付いていました.裏面はやや分厚い酸化被膜に覆われていましたので,この面を一面研磨しました.
(研磨)酸化被膜は水酸化鉄の様でしたので,一気に磨ると下から方解石が出てきました.標本の正面にあった硫砒鉄鉱は裏面には無く,磁硫鉄鉱と閃亜鉛鉱に僅かに方鉛鉱が付いていました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡写真です)
白色部が方解石.帯黄真鍮色金属光沢部が磁硫鉄鉱.帯青鉛灰色金属光沢部が方鉛鉱です.
中央部にあるのが方鉛鉱です.この集合中で一番軟らかいと思われる方鉛鉱が先に摩耗するためか,研磨傷が残っています.斜めから強い光を当てて顕微鏡で観察すると僅かに凹んでいました.
帯黄真鍮色金属光沢部が磁硫鉄鉱.その傍に粒状の真鍮色金属光沢部があり,拡大すると黄鉄鉱でした.帯青鉛灰色金属光沢部は方鉛鉱.白色―乳白色部は方解石.右端の見える黒色部は閃亜鉛鉱です.
磁硫鉄鉱の集合した部分です.
研磨石の端の部分です.黒色のやや光沢があるように見える部分は頁岩です.
こちらは方解石の多い部分です.帯黄真鍮色金属光沢部が磁硫鉄鉱.左上の黒色の柱状のように見える部分は閃亜鉛鉱でした.