鉱物の顕微鏡写真52 ―コロナド鉱―
(表面)
(裏面)
産地:Bou Tazoulet, Imani area, Ouarzazate province, Draa-Tafilalet region,
Morocco.(2019年大阪ショー OY社で購入)
Coronadite コロナド鉱
[組成]:PbMn8O16 単斜晶系
[色]:黒・灰黒色・帯青黒色・帯緑鋼灰色.
[自形]:針状・柱状・板状・毛状.
[集合体]:腎臓状・仏頭状.
[光沢]:金属光沢~亜金属光沢.
[モース硬度]:4.5~5
[比重]:5.246~5.505
[条痕]:褐黒色.
二酸化マンガンの鉱物のうち,パイロリュース鉱やクリプトメレン・横須賀石などは標本市場で出回り易い種類で,この鉱物はほとんど出回っていないため,ここで紹介することにしました.このシリーズは海外産の鉱物と国産の鉱物を顕微鏡下で比較しようという試みで,いろいろな光源下で格闘しながら撮影しています.市場に出回りにくいこの鉱物を先に入手したのは,国産の標本で分析済みという言葉を信用して購入した石でした.(出元がかなりしっかりしていたので安心はしています) 上の写真の標本は2019年大阪ショーで購入しました.沙漠のど真ん中の現場だそうで,腎臓状に集合したコロナド鉱よりなった標本です.クリプトメレンのカリウムを鉛で置換したような組成です.腎臓状の大部分がコロナド鉱なのか,もしくは表面がコロナド鉱で内部は別の二酸化マンガンの鉱物である可能性もありましたが,肉眼では判らないため,こういうものだと勝手に思っています.
(以下,顕微鏡下での撮影です)
モコモコした部分の断面です.
別の部分の拡大です.
さらにその拡大.
裏面の別の部分の拡大写真です.上部に多少青黒くなっている部分は錆びです.
一方,こちらは国産の標本です.ずっと前にサンプル購入したコロナド鉱の標本です.
産地:北海道上ノ国町中外 上国鉱山.(非売品)
コークスのような外観の石で,前述のモロッコ産の本鉱よりかなりボソボソで,軽石のように軽い印象のする石です.表面がコロナド鉱で内部はオーロラ鉱と購入時に説明を受けました.随分軽く,似た鉱物の轟石も入っていそうな,そういう感じの石です.
上の標本の拡大写真です.表面を撮影したものです.黒っぽい塊状にしか見えません.
こちらは破面の出ている裏面を拡大したものです.同心円状を輪切りにしたような部分がありましたので,拡大してみました.前述の説明された通りなら外周の灰黒褐色の部分がコロナド鉱,内部の漆黒の部分がオーロラ鉱ということになります.基本的に真贋はよくわかりませんが,2層になっていて表面と内部が違うものということだけは顕微鏡観察で判りました.
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