鉱物の顕微鏡写真53
―クライン石とターリングアクリーク石―
産地:McDermitt mine, Opalite area, Humboldt Co., Nevada, USA.
(2019年大阪ショー,HR社で購入)(非売品)
Kleinite クライン石
[組成] Hg2N(Cl,SO4)・nH2O 六方晶系 結晶はやや脆い.
[色]:黄色・黄橙色.日光下で暗黄色~赤橙色に日焼けし,暗所で保管すると元の色に戻るという.(と,文献には掲載されていましたが,これはまだ実験していません)
[光沢]:亜ガラス光沢~油脂光沢.
[モース硬度]:3.5
[比重]:8
[劈開]:[0001]に明瞭.
[条痕]:黄色みのある白色.
Terlinguacreekite ターリングアクリーク石
[組成] Hg3Cl2O2 直方晶系 結晶はやや脆い.
[色]:黄色・橙色・灰黄色・黄褐色・赤褐色.
[光沢]:亜ガラス光沢~油脂光沢.
[比重]:9.899
[劈開]:なし.
黄色を呈する鉱物はどういう訳か,人体に影響があったり毒物に多いような気がする.今回の標本も水銀の塩化物に,窒素や硫酸根が含まれている.水銀の鉱物としては稀産鉱物と,ほかの文献にあった.クライン石を初めて見たのは8年くらい前の新宿ショーでした.当時は国産鉱物から少し離れて海外の変な組成の鉱物ばかり集めていました.その時は結構な値がついていて見送りました.今回ようやく入手しました.
標本の産地は文献によると更新世の凝灰礫岩中に生成した水銀鉱床で,1970年頃に発見され露天掘りで操業し,1990年頃に閉山したという.母岩がその凝灰礫岩ということになりますが,礫に砂が少量混じっていて,粒の間隙に細かい水晶が膠着物質のように入っていました.
ターリングアクリーク石はクライン石の細かい結晶の集合体の周辺に,濃い橙色を呈する粒状ないし樹枝状の部分で,標本のラベルにはありませんでしたが,別の場所の標本(サムネイルに入った小さなもの)を所有していたので,判別できました.ターリングアクリーク石も水銀の鉱物で,クライン石よりも橙色味が強く,部分的に赤色味を帯びています.前述のサムネイルに入った小さな標本に赤褐色のものが付いていました.今回は思いがけず2種類の鉱物が付いていましたので,2つ共に紹介しました.
[以下,顕微鏡下での撮影です]
―クライン石―
六角柱状の柱面が光っているのが見える部分を拡大しました.
こちらは別の部分の拡大写真です.
―ターリングアクリーク石―
黄橙色のクライン石の集合体の脇に更に橙色味の濃いターリングアクリーク石が付いています.写真の上の方に見える赤い粒は辰砂の様です.
更に拡大したものです.拡大すると細長い板状の結晶が集合したように見えました.
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