鉱物の顕微鏡写真51 ―菱マンガン鉱―
産地:Uchucchacua mine, Oyon province, Lima, Peru.
(2019大阪ショー,L社で購入,非売品)
Rhodochorosite 菱マンガン鉱
[組成]:Mn[CO3] 三方晶系
[色]:白色・淡紅褐色・黄灰色・灰色・アズキ色・淡緑灰色・褐灰色・暗褐色.
[光沢]:ガラス光沢.塊状のものは光沢が鈍い.
[自形]:菱面体・六角柱状・六角板状・犬牙状.
層状・同心球状の集合体など.
[モース硬度]:3.5-4
[比重]:3.5-3.7
[劈開]:[1011]に完全.
[条痕]:白色.
塩酸で分解.
これを書くに当たって新たに,買い求めた標本を上に挙げました.犬牙状の結晶は少ないようで,有名な現場の菱面体の結晶は高価で手が出ませんでした.本邦では一般に鉱脈鉱床の脈石をなす菱マンガン鉱と,堆積岩中に胚胎する層状マンガン鉱床の主要鉱石鉱物をなす菱マンガン鉱がみられました.前者は北日本に多い傾向があり,後者は関東・中部・近畿・九州と幅広くみられます.筆者の住んでいる口丹波は後者の鉱床が多く,色の無いか淡いあまりきれいでない菱マンガン鉱を多産しました.普通に産する鉱物なので標本を選定するのに時間がかかってしまいました.
[以下,顕微鏡下での拡大写真]
犬牙状の結晶の拡大.母岩は柱面の短い灰色の水晶.
[以下,国産品です]
産地:岐阜県土岐市下石町拾石.(非売品)
美濃帯の堆積岩中に胚胎した小規模なマンガン鉱床で,工場用地の造成工事中に産した菱マンガン鉱です.遠目でみると広い造成地にアスファルトが放置されているように積んであった.母岩はアフテンスク鉱のような二酸化マンガンの鉱物で一部に立派な水マンガン鉱の結晶も産しました.束沸石に似た六角柱状の結晶で,空隙一面に生えています.
上の標本のほかの部分の拡大です.ほとんど色が無く,白色に近い色をしています.
産地:北海道古平郡古平町稲倉石元山 稲倉石鉱山(非売品)
22年以上前に購入した古い標本です.上部に菱面体の結晶が幾つかあり,その盤際に黒色の閃亜鉛鉱や黄鉄鉱などの硫化鉱物を伴っています.鉱脈鉱床の脈石として産した菱マンガン鉱です.
産地:北海道檜山郡上ノ国町中外 上国鉱山(非売品)
こちらも10年以上前に購入した標本です.新鉱物「上国石」の原産地として知られている鉱脈鉱床の脈石として産した菱マンガン鉱です.
産地:京都府京都市北区鷹峰護法ヶ谷 吉兆鉱山護法谷鉱床.(非売品)
2005年ごろに訪問してサンプリングした魚卵状の菱マンガン鉱です.アズキ色の小さな粒状部が菱マンガン鉱です.
産地:京都府京都市左京区大原 大原鉱山清水山鉱床.(非売品)
3年ほど前にサンプル購入した色の無い菱マンガン鉱です.灰白色―灰色の部分が菱マンガン鉱で,少量の非晶質炭素物質あるいは石墨なおどを伴っています.
産地:兵庫県川西市多田院 猪名川川原露頭(非売品)
5年くらい前に購入した標本です.全体が菱マンガン鉱とのことでした.鉱脈鉱床の脈石としての産出で,暗褐色―帯赤褐色を呈する塊状をなしています.ほかの文献では含鉄菱マンガン鉱とありました.
産地:茨城県かすみがうら市雪入(非売品)
いわゆる燐酸塩ペグマタイト中の菱マンガン鉱です.周囲に分解したトリフィル石様鉱物が取り囲んでいて,黄鉄鉱を伴う淡いピンク色をしています.
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