いくつかの研磨した石１２８
京都府福知山市梅谷 梅谷鉱山の磁硫鉄鉱―石英脈を一面研磨してみました．当地は山陰街道にほど近い亜鉛を稼業した鉱山で，観察会も開かれることが多く，一般的なスカルン鉱物および鉱石鉱物が観察できる現場として京阪神では割と名の知られたところです．沿革ははっきりしませんが終戦前後まで操業されていたそうです．旧市町村界の行者山と呼ばれる峰の南方斜面の谷に５つほど坑口があり，谷に転石がみられました．上の石は８年ほど前のこの時期に訪問した際にサンプリングした石です．周辺の山や尾根が花粉で真黄色に染まっていたのを覚えています．当然，前もみられないくらいの症状で，あまり息もできなかった．そんな中，谷の入口で拾ったものです．当地はスカルンが母岩なのにこの石は石英脈が切っていて方解石はほとんど見られませんでした．何か入っているかもと思い切断したあと一面研磨にまわしました．
(研磨)石英が主体なので，硬いことを前提に磨り始めました．イイ感じに硫化が入っていたため案外簡単擦れてくれました．石英の粒間に光沢のやや鈍い鉱物が付いていることがあとで判りました．細かい鱗片状で一番早く摩耗しそこだけ凹部になってしまいましたが，今回は無視して研磨しました．仕上げは青砥でしました．
(以下，顕微鏡写真です)
帯黄真鍮色部が磁硫鉄鉱です．母岩は石英の断面．
黒色部は閃亜鉛鉱．
黒色の閃亜鉛鉱の中に微量の方鉛鉱がありました．(銀白色に光って見える部分)
石英の粒間です．破片を塩酸で炊いたところ発泡し，濃い黄色の液体が残りました．菱鉄鉱かもしれません．
この鉱山では
斑銅鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・黄鉄鉱・磁硫鉄鉱・方鉛鉱・硫砒鉄鉱・硫カドミウム鉱・石英・玉髄・褐鉄鉱・水亜鉛銅鉱・水亜鉛土・菱亜鉛鉱・石膏・青鉛鉱・灰鉄石榴石・異極鉱・灰鉄輝石・緑泥石などがみられます．
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