琢美鉱山のピンクの石
2年ほど前の大阪ショーで琢美鉱山から産するピンクの石はデュモルティエ石だと知人より教わりました.当初はコバルト華と思っていた鉱物です.標本を整理していると琢美鉱山のボソボソの石が出てきて,件のピンクの石が付いていました.標本にするために成形しましたので,写真と顕微鏡写真を撮ってみました.
琢美鉱山は花崗岩中の鉱脈鉱床で,母岩の花崗岩はセリサイト化し著しく風化してボロボロになっています.新鮮な母岩も下の沢でサンプリングしたのですが,どういう訳か新鮮な部分にはほとんど入っていませんでした.鉱床は当初は銅鉱山でその後は砒鉱山になったそうです.
上の石は母岩が安定に欠け,さらにボロボロなので動かす度に屑がたくさんできてしまうため,安定させるために裏面を一面研磨しました.いつも通りに荒砥で削りました.磨っているうちに母岩がボロボロと崩れて行ってしまう.ある程度まで磨って止めました.
磨った面の空隙をルーペで覗いていると,感じのいいデュモルティエ石がはいっていました.
(以下,顕微鏡写真)
かなり小さいです.ピンク色の部分がデュモルティエ石.周囲はセリサイトなのか表面をスコロド石で覆われているのかは判りませんが母岩です.
もっと拡大すると繊維状であることが分かりました.
こちらは空隙に面するもので,写りは悪いですが,結晶の頭が見えていました.
あとから気づいたのですが,サンプリングしたもののうち,やや新鮮な泥質ホルンフェルスのような黒っぽい石に,繊維状で鉄電気石を含んでいました.転石なので当地から出たものなのか,上流から流れてきたものかは判りません.
お知らせ
本日 店内の棚の一つを石榴石コーナーにしました.
こんな感じになっています.