いくつかの研磨した石121
京都府京都市北区鷹峯護法ヶ谷 吉兆鉱山護法谷鉱床のハウスマン鉱からなる高品位鉱石を一面研磨してみました.10数年前に当地で針ニッケル鉱の産出を確認した日に,坑口から少し下った地点でサンプリングしたチョコレート鉱です.重量は約1㎏ありかなりずっしりとしています.護法谷鉱床は京都市街地から近く,過去何度か観察会が開かれたりした現場です.坑口の前に小ぶりな滝があり,最近になって滝巡りを始めている身としては,もう一度訪問する機会があれば..と思っているのですが,近い割にアクセスがやや悪いため実現していません.上の標本はもともとちゃんとした標本にするつもりでサンプリングした石でしたが,三角形に近く恐ろしく座りが悪い石でした.標本を整理を兼ねて探していると,見つけた石です.座りが悪いので裏面の尖っている部分削り落として一面研磨してみました.
こちらが表面です.
(研磨)軽くベビーサンダーで角を落としてから,工業砥石で削り始めました.あらかじめベビーサンダーでもう少し削り込んだら良かったのですが,あまり落とすと薄っぺらい石になってしまう.幅があるので50㎜の高さを確保してそこから粗削りしました.石英などの硬い鉱物は含まれていませんので,一気に平滑にできました.このあとに青砥で光沢が出るように研磨しましたが,思った以上にうまく出てくれず,鴨瀬谷山の砥石で研磨するとうまく光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡写真です.)
黒褐色を呈するヤコブス鉱からなる脈が切る部分の拡大です.白色に見える菱マンガン鉱の細脈を伴っています.
こちらもヤコブス鉱の脈です.中央から下の部分が,小断層か何かで切られて横に滑っています.白色の細い筋状に見える脈は菱マンガン鉱,下の方の太い白色脈は方解石のようです.
下の方を切っている方解石脈の拡大です.帯黄暗緑色粒状の鉱物が入っています.カリオピライトかテフロ橄欖石のような鉱物かもしれません.小さすぎるので判別できませんでした.
チョコレート鉱(ハウスマン鉱を主とする)を拡大したものです.下の方に黄褐色のカリオピライトからなる細い脈が切っています.
当地はほとんど熱変成を受けていない層状マンガン鉱床で,普段見るばら輝石の系統の鉱物やテフロ橄欖石のような鉱物は余り見られませんでした.(以前に研磨石の回でテフロ橄欖石を一面研磨しましたが,過去この手の鉱石を観たのは1回だけでした)