厳木鉱山のクロム鉄鉱
表面.
2003年の12月頃にサンプリングした石です.今月のはじめに厳木鉱山の針ニッケル鉱は書きましたので,今回は同名の鉱山のクロム鉄鉱です.マンガンを稼業した鉱山は多久市との境界付近にありましたが,クロム鉱山のほうは厳木駅の北側にありました.前述のマンガン鉱床に初めて行ったときに駅近くで聴き込みをした.
(ここから当時の野帳を参考にして書きます)近くに同名でクロムを操業した鉱山があったことを伺いました.そのときは予定になかったので行きませんでしたが,後日に訪問した時に行ってみました.北側の在所で聴き込みを再度すると,「北に見えるアンテナの近くにあって,集落の東端から伸びている林道から近くまで行ける,藪になっていて分かりづらい」と伺いました.伺った通りに行くと林道があり,鶴川という川をさかのぼって西の尾根の方まで続いていました.途中に先ほど仰っていたアンテナがあり,だらだらとした坂道を上っていくと峠になりました.峠の南に径の入り口があり,これを辿ったところに坑道が陥没したような跡があって,その少し谷側にクロム鉱が見られました.
上の標本はその時にサンプリングした石です.どれくらいの量が現場に残っていたのかは,野帳に書いて居ません.思い出してみると真っ黒に近い蛇紋岩がたくさんあったような覚えがします.どういうわけか当地のサンプリングした標本はこの1つしか残していませんでした.
黒いところがクロム鉄鉱で,白っぽく見える部分が蛇紋石系の鉱物.紫色は菫泥石.菫泥石はクロムを含み紫色を呈する緑泥石のことです.緑色の部分は元に付けていたラベルには角閃石類と書いて居ましたが,今回改めて確認すると透輝石でした.ほか細かい雲母をクロム鉄鉱の粒の周りに伴っている部分がありました.
緑色部が透輝石.