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Channel: 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ
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いくつかの研磨した石115

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 今年は寝正月でした.

 昨年の12月上旬は暖かかったのに下旬で,一気に寒くなったので

 どこへ行く気もありませんでした.

 

 今日からブログの方は始動です.

 

 

 

 いくつかの研磨した石115

  以前に少し触れました.京都府南丹市園部町 大和谷鉱山のブラウン鉱を一面研磨してみました.当地のサンプルは以前に重晶石を紹介しました.今回はずっと置きっぱなしになっていた当地のブラウン鉱です.標本的にはイイモノではありませんが,こういうものも出たという意味でサンプリングしていました.母岩のチャート質の部分が非常に堅いためにずっと置きっぱなしになってました.磨り残しがまだありますが,すでに出ているブラウン鉱が磨り消えてしまいそうなので,この辺でやめました.

  当地は丹波帯Ⅱ型の堆積岩中の黒鉱鉱床です.京都府採掘鉱区2号で,銅を採掘していました.鉱床上部の坑前のズリに二次帯が発達して様々な二次鉱物が出て口丹波では有名な産地になっています.

  当地のマンガン鉱物は轟石・カルコファン鉱など二酸化マンガンの鉱物に限られて見られましたが,数年前の観察会で見つかって知られるようになりました.観察会のしばらく後にこの石をもう少し見ておこうと思って訪問しましたが,その一週間ほど前に大水があった(多分そうだったと思う)ため石が流出したのか,現場には残っていませんでした.この産出の随分前,筆者がまだ高校生の時に,祠の下で菱マンガン鉱一つを採取していましたが,こちらは分析はやっておらず,またそのサンプルも失くしてしまったのか,探しても見つかりませんでした.

  丹波帯ではブラウン鉱の産出はかなり少なく,数ある京都のマンガン鉱床で筆者が確認したのは,日吉鉱山・細野鉱山・古和木鉱山・地堂鉱山・護法谷鉱山・足谷鉱山などでした.上の標本は観察会の時にサンプリングした内の一つです.実際は比較的大きな石を成形時に半分に割った片割れで,割れた面が比較的平坦だったのでこの面を一面研磨する面に選びました.

 

 (研磨)前述のとおり非常に堅い石で,磨り始めたのはいいものの砥石が負けてなかなか思うように磨れませんでした.以前の回に炉材珪石山の赤白チャートを研磨したよりも研磨しづらい感じがしました.赤白珪石はこの石よりも粒がそろっていて硬い割には早く研磨でしたのだと思っています.上の石はその点からいうと堆積時にいろいろな岩片が入っていて,それが珪化したような感じの石で,粒が不揃いなため平滑にするのに手こずりました.時間をかけてなんとか平滑にはできたものの凹部が残ってしまって,お蔵入りみたいな感じになったためにずっと放ったらかしになっていました.今回のためにもう一度荒砥から磨り直しました.凹部は相変わらず取れませんでした.この際無視して仕上げをしました.仕上げは青砥でなんとか頑張ってみたものの,やはり砥石が負けて砥石ばかり削れてしまい,うまくいきません.荒い大村砥ですこし磨ってから愛宕砥で再度磨りなおすと光沢が出てくれました.本当の仕上げはまだやってません.研磨チャートで多分うまくいくと思っています.

 

(以下 顕微鏡写真です)

 写真中央部の帯青鋼灰色(画像では黒色)の金属光沢部がブラウン鉱です.

 

 一番最初の左端くらいについている部分の拡大です.当初は菱マンガン鉱か方解石などの炭酸塩鉱物を予想していましたが,ばら輝石の類だということです.写真では白っぽく映っていますが,目視ではもう少しオレンジ色っぽい色をしています.(色では確定できないが,南部石か?)

 

 こちらはブラウン鉱の粒の近くを切っている二酸化マンガン様の脈の拡大です.顕微鏡で拡大すると脈の一部が白色のマンガン鉱になっていました.もっと拡大するとカリオピライトかネオトス石のような質感の物質が埋めているところがありました.金属鉱床の近くのマンガンなので,志摩半島の鉄マンガン鉱床のようなREEに富んだ変な鉱物も微細ながら入っているかもしれません.(いや,是非入っていてほしいものだ)

 

 初めの画像の右上の赤色チャート様の部分の拡大です.なんとなく角礫状になっているのが観察できます.暗い灰黄緑色部は緑泥石かもしれない.

 

 画像の中央の目視では黒色部に見える母岩の拡大写真です.細かい緑泥石様の鉱物でできているようです.透明部は石英の様です.

 

 

 


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