昨日,整理していると2001年11月ごろに訪問した,佐賀県厳木鉱山のマンガン鉱石がたくさん出てきました.鉱山については過去にも少し触れました.当地には過去2回程度訪問しましたが,初めて行った頃のサンプルが行方不明で,今回出てきたサンプルは2回目に行ったときのものです.この時に笹原の手前でうろうろしていた時に偶然,上流のダム工事に関わった建設会社の会長さんにお会いして,いろいろ話を伺うことができました.昭和40年ごろに九大の関係者が来ていろいろ調べていったとか いう話を伺いました.登り口等も伺いましたが,現場に行くと入り口はわかりましたが,登っていくと藪になりこれ以上進めない状況になったので,位置だけ地形図で確認して集落の東から出ている林道を伝って尾根から入ると,聴いていた現場と合致しました.時間切れ間近でサンプリングした覚えがあり,そのサンプルもしばらく行方不明でした.当時は鉄道利用で行っていたため,薄暗いなかマンガン鉱抱えて歩いた記憶があります.
サンプリングした石は二酸化マンガンにひどく覆われていて,内部は緑色の角閃石類を伴った汚い色のばら輝石でした.割れ目が多く,その割れ目にネオトス石が入っていて,ここから割れやすく成型に難儀する石でした.そのうちの一つを写真に撮ってみました.
上の石はごちゃごちゃ入ったサンプルの箱に「黄銅鉱」とラベルを付けていた石です.県内での産出はあまりないようでしたので,小さくてもサンプルとして残していたようです.写真上部の二酸化マンガンが何となく気になり割ってみました.
上のように斫りのハンマーで試してみるといい感じで割れてくれました.割れ目をルーペで観察すると,針状の針ニッケル鉱が出てきました.当地の針ニッケル鉱は以前に緑褐色のテフロ橄欖石中に微細なものを確認していました.今回はばら輝石の集合からのものです.
(以下 顕微鏡写真)
黄銅鉱.ばら輝石中に閃亜鉛鉱に伴っています.
こちらは閃亜鉛鉱.
赤褐色板状部がパイロファン石.
針ニッケル鉱.かなり小さいです.
それをもっと拡大したものです.下の赤い部分はばら輝石です.
当地のサンプルはいくつかありますが,どれも小さく標本にとれるものはありませんでした.