鉱物の顕微鏡写真38 ―順伊藤石―
産地:Christmas mine, Christmas area, Banner district,
Dripping Spring Mts, Gila Co., Arizona, USA.(非売品)
Junitoite 順伊藤石
組成:CaZn2[Si2O7]・H2O 斜方晶系
色:無色・白色ガラス光沢.変質すると様々な色になる.
モース硬度:4.5
比重:3.5
条痕:無色・白色
劈開:[010]に完全.
条痕:白色.
名称は伊藤 順(1926-1978)に因む.
数あるUSA産の標本の中で,色彩が日本離れしているので,
気になって購入した標本です.産地は原産地標本で,組成だけを
見ると,滋賀県の石部灰山でも出そうな石です.母岩はスカルンの
ようで,文献ではスカルン中のCu-Au-Ag-Mo-Bi-Pb-Be-W鉱床と
なっていました.鉱山は主に露天掘りで操業されていたようです.
母岩には灰礬石榴石―灰鉄石榴石系石榴石や透輝石,劈開の
顕著な方解石,ベスブ石などからなっていました.順伊藤石は母岩
の割れ目に薄い板状で入っています.
(以下顕微鏡写真です.)
青色がかっています.無色―白色部があまり変質していない
部分.
こちらは別の部分についているものです.
2枚目の写真の拡大です.淡橙色部は灰礬石榴石―灰鉄石榴石
系の石榴石です.
この産地ではほかに灰鉄石榴石・灰礬石榴石・方解石・黄銅鉱・
閃亜鉛鉱・赤銅鉱・赤鉄鉱・翠銅鉱・アホ―石・ギラ石・キノ石・
弗素魚眼石・ルイツ石・珪孔雀石などがみられます.因みに筆者
は行ったことがありません.