いくつかの研磨した石105
京都府福知山市三和町三春峠の硫化鉄鉱を一面研磨しまし
た.先日,三春峠に紅葉を観に行ったときに,災害復旧工事の
ためか土砂を得るために法面の一部を欠いて整地した場所が
あり,一部に輝緑岩の腐った部分がありました.
地質図で確認すると丹波Ⅰ型の頁岩やチャートからなる地層
に,東西に亘って珪質岩が切るように分布していました.泥質
珪岩ともいうべき岩石が整地された西の端に少し残っていて,
細かい黄鉄鉱が鉱染していました.
また露頭より少し東側に輝緑岩が腐ったような緑色岩が脈の
ように挟まっていて,整地された部分のうちこの部分だけが濃
緑色になっていました.
この緑色岩は褐鉄鉱の鉱染が酷く,全体が褐鉄鉱の褐色に変
化しているものや褐鉄鉱の小塊状になったようなものもありまし
た.しばらくうろうろしていると整地された平地の谷側の端面に
褐鉄鉱に覆われ,表面に小石が褐鉄鉱で膠着された少し重みを
感じる石を見つけました.ほかの石はどれも細かく,サンプリング
できたのはこの石だけでした.
半分に割ると石が小さくなってしまうので,帰ったら磨ることに
しました.
(研磨)珪岩だろうと思っていたのですが,荒砥で磨っていると,
砥汁が硫化物特有の黒色になってきて,様子見で観察すると,
硫化物の集合でした.仕上げは青砥で充分光沢が出てくれま
した.
(以下,顕微鏡写真です.)
緑色岩中に鉱染するもののようです.中央の黄銅色金属光沢部は
黄銅鉱です.周囲の俄かに紅色を帯びる真鍮色は磁硫鉄鉱でした.
濃緑色部は緑泥石のようです.
こちらは磁硫鉄鉱の多い部分です.研磨面ではありませんが,ほか
の割面に閃亜鉛鉱と黄鉄鉱を確認しました.
三春峠の北側は東方にある鹿倉山・田ノ谷にある星谷など,妙見
信仰があるのか..と思うほど金属地名があり,何かあるとは思って
いました.三春峠を越えた春日町側にも,精錬地名を思わせる「鹿場」
や「風呂吹」と云った地名がみられる.(太字は精錬地名を連想させる
字)
どこまでそれが続いているのか確かめるのも面白く,今後の課題と
したい.
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