いくつかの研磨した石100
京都府京都市右京区京北細野町尾山 細野鉱山の赤色チャートを
切るブラウン鉱を一面研磨してみました.もともと北桑田郡細野村と
云ったところが,周辺の町村と合併して京北町になり,その後に京都
市に編入されて今の地名になりました.丹波Ⅱ型の堆積岩中に胚胎
する層状マンガン鉱床で,著名な鉱山会社が操業していたようです.
以前に大和鉱山のブラウン鉱を一面研磨したことがあり,黒一色で
全然面白くなかったので,今回は赤色チャートを切るブラウン鉱を探
して用意しました.
(研磨)ブラウン鉱を含んでいるので,チャートよりははるかに容易に
削れてくれるはず,と踏んで研磨し始めました.前回のカリオピライト
よりは容易に削れてくれましたが,硬度の差があり思った以上に難航
しました.どうしても炭酸塩の入っている部分が柔らかく,チャートが
残ってしまう.使いすぎて真ん中が凹んだ砥石で試しに磨ると,うまく
いきました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡写真)
褐色の部分がカリオピライトに見えて,そうじゃないような気がして,ハ
テナをつけました.
その2
岡山県美作市瀬戸鉱山の硫化鉱を両面研磨しました.作東ICの北
方附近にいくつかあるゴルフ場の近くにありました.現場は大きな斜
坑が残っていて,ズリも残っていますが上の小石は10年以上前に
東大弘の方で見つけたサンプルです.全面が酸化被膜に覆われて
いましたので,サンプルが小さいこともあり両面研磨してみました.
裏面です.
舞鶴帯の頁岩や夜久野岩類などに胚胎する鉱脈鉱床で,宍粟や
佐用の鉱床によく似ています.見た目は黄鉄鉱と黄銅鉱からなる
硫化鉱ですが,磁硫鉄鉱が入っているらしく磁石を引き寄せます.
(研磨)頁岩質の母岩なのでかなり柔らかいと踏んで一気に磨り上
げました.両面ともに20分くらいでした.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡写真)
磨ってみて判ったのですが,上のように硫砒鉄鉱を含んでいました.
暗色の部分は緑泥石のようです.
その3
大分県中津市山国 旭鉱山のビリひ(金偏に通)を一面研磨しました.
学生の頃に添田町方面から国道500号経由で行ったことがありま
した.上のサンプルはその後の高速1000円の時に訪問しサンプリ
ングしたものです.学生の頃に行ったときは苦灰石とペーパーカル
サイトしか無かったという思いがあり,その後にいったときにようやく
金属らしい石をサンプリングできた.その石が最近になって出てきま
した.硫化の粒が比較的大きいので大した鉱物は入っていないと思
いつつ一面研磨してみることにしました.
(研磨)石英主体で硬いと思っていましたが,無色や白色の氷長石や
炭酸塩などが細かく入っていて案外簡単に磨り上がりました.仕上げ
は青砥でしました.
(以下, 顕微鏡写真)
ちょっと期待しましたが、方鉛鉱が少し入っている程度の石でした.
その4
福井県大野市(和泉村) 面谷鉱山の脈状に入っている硫化鉱が出て
きましたので,こちらもサンプルが小さいので両面研磨してみました.
裏面です.九頭竜川の最奥にある銅山です.脈石の空隙に充填した
方解石を塩酸で処理するとホタル石の自形結晶が入っているよ..と
教えられて話の種に行ったときにサンプリングしたものです.北陸道
を降りて下道で目指したのですが,遠いこと.あとで白鳥経由で行くと
早いことを知りました.
(研磨)両盤が脈性の方解石なので簡単に磨ることができました.それ
でも方解石に挟まれた部分の白色部は石英で,真ん中が盛り上がら
ないように調整しながらの研磨でした.こちらも仕上げは青砥でしまし
た.
(以下,顕微鏡写真)
当地の産出鉱物をよく知らない所為か,上の鉱物種しか判りません
でした.緑色の部分は凝灰岩が変質したもののようです.青色―水
色の部分は表面に二次鉱物です.
その5
京都府福知山市宮垣 富国鉱山の硫砒鉄鉱を含む石英脈を両面
研磨しました.もともと旧幕時代に福知山藩によって宮垣銀銅山と
呼ばれていたそうです.銅山としては成果が無かったのか,その後
に蒼鉛山になったようです.鉱山名は宮垣銀銅山と隣りにあった田
和銀銅山の中間にある山を富国山と云っていたそうなので,山の名
前からきているようです.
裏面です.
上の石は知人に連れて行ってもらった時にサンプリングした石で
す.持ったときに重く感じましたので,ビスマスがたくさん入っている
だろうと過信していましたが,後日に端を欠かすと硫砒鉄鉱しか入っ
って無かったので,がっかりしたサンプルです.
(研磨)前述のとおり硫砒鉄鉱が入っている石英脈でしたので,こちら
も早く磨り上がりました.少しでも輝蒼鉛鉱などの蒼鉛鉱物が入って
いると期待して磨っていたのですが,見るからに硫砒鉄鉱しか無く,
次の顕微鏡観察に期待しました.仕上げは青砥と光沢が出るように
チャートでしました.
(以下,顕微鏡写真)
予想通りの硫砒鉄鉱が主体でした.緑色の緑泥石を含んでいる
以外は石英しか無いようでした.
硫砒鉄鉱が集合している部分の端っこのほうにようやく輝蒼鉛鉱が
ありました.かなり小さなものです.
ようやく100まできました.磨ってみたい石がもう少しあるので,続く
と思います.
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