鉱物の顕微鏡写真30 ―ヴァナジン銅鉱―
産地:Munument No.1 mine, Mystery valley, Munument valley,
Navajo Co., Arizona, USA.(購入品で,非売品)
Volborthite ヴァナジン銅鉱(ヴォルボース石)
組成:Cu3[(OH)2|V2O7]・2H2O 単斜晶系
色:褐黄色・緑黄色・黄色・黄緑色・淡褐色ガラス~亜ガラス光沢.
モース硬度:3
比重:3.5~3.8
劈開:一方向に完全.
条痕:淡緑色.
磁性:無し.
原産地:Sofronovskii Cu mine, Yugovskii Zavod, Perm', Permskaya
Oblast', Middele Urals, Urals region, Russia.
ようやく30回まできました.いろいろとやっているうちに勉強になって
います.もう少し続けようと思っています.今回は緑色のきれいな鉱物に
しました.
ヴァナジウム主成分の鉱物は本邦ではなじみが少なく,華美な鉱物
ですがいずれも小さなものが多い傾向にあります.主成分とする鉱物も
10種以上は確認されていますが,いずれにしても小さなものが多い.
主に割れ目に出てくる鉱物のようで,上の写真の石も砂岩あるいは粘
土岩の割れ目にへばりついたものです.
堆積性ウラン鉱床のものですが,この標本にはウラン鉱物はついて
いません.鮮やかな黄色と緑色のグラデーションになっていて,顕微鏡
で観察していたら,気に入って撮影しました.
ほかの部分にも皮膜状や細かいロゼット状の集合が割れ目について
います.標本の母岩は小さいものですが,双眼顕微鏡下では立派な標
本に見えてきます.
(以下 顕微鏡写真)
上の写真とは異なり,こちらは細かいロゼット状の集合体が
裂罅に集まっているものです.これでも顕微鏡の拡大で最大
にしているのですが,細かいところまでは見れませんでした.
青く映っているのは母岩の砂岩あるいは粘土岩.
二枚目の写真の部分を,デジカメのズームを使用して拡大した
ものです.もう拡大は限界のようで,細部がぼやけてしまいま
した.
この産地では,ヴァナジン銅鉱と似た組成の鉱物が出ていますが,
見かけもよく似ているので,上の写真にも含まれているかもしれません.
判別を試みたのですが,何分小さなもので判別できませんでした.
さて,国産のものを数点.
産地:東京都青ヶ島村湯の浜海岸.(OY社で購入)(非売品)
南の島のヴァナジン銅鉱です.黒色の溶岩中の空隙に珪孔雀石?
あるいは含銅アロフェン?が小塊状で表面を覆ったりしていて,
その上に帯緑黄色の粒状が付いている.産地が行けるところでは
無いのでサンプルとして購入した.母岩の一部に黒色の磁鉄鉱が
点々とついていて,これの近くにややしっかりした粒状のヴァナジン
銅鉱が付いていた.ヴァナジウムの起源は磁鉄鉱に含まれるのかも
しれない.本邦でこういう産状のものをこの標本で初めてみました.
双眼顕微鏡で最大まで拡大した上,カメラのズーム機能を使用して
撮影しました.これが限界のようです.
上の写真と同様のところを撮影したものです.同心円状の直径
約0.5㎜.
いずれも同じ母岩についているものです.産地:愛知県犬山市
継鹿尾.(購入品で非売品)
黒色の頁岩中の割れ目にできたものです.この産地
は有名になっています.
写真に撮り辛かった石で,撮影する前に表面の汚れを落とし
ました.過酸化水素水である程度まで浸したあとで,軽くブラッ
シングしました.風乾後に撮影しました.
ヴァナジン銅鉱のほかに少量のブロシャン銅鉱が割れ目に
ついていて,これの近くにはヴァナジン銅鉱は付いていません
でした.