鉱物の顕微鏡写真29 ―ゲルマン鉱―
産地:2390 Level, Tsumeb mine, Tsumeb, Oshikoto region,
Namibia.(非売品)
Germanite ゲルマン鉱
組成:Cu26Fe4Ge4S32 立方晶系
色:赤褐色・褐色・帯紅紫灰色.金属光沢.
モース硬度:4
比重:4.4―4.6
劈開:無し.
条痕:灰黒色・黒色.
原産地:Tsumeb mine, Tsumeb, Oshikoto region, Namibia.
以前に手持ちの図鑑で見たときに,何とも言えない紫がかった
色を持つ金属鉱物という印象がありました.標本店で見たときに
結構するもんだ...と当時資金が無く指を咥えてみていました.
上の標本は10年くらい前の大阪ショーで購入しました.サムネ
イルに入るくらいの小さなものですが,ゲルマン鉱のほかに方鉛
鉱や砒四面銅鉱・黄銅鉱・硫砒銅鉱,肉眼で判別できないガリウ
ム(Ga)を主成分とするガリア鉱(Gallite),ゲルマン鉱と似た組成の
レニエル鉱(Renierite)などを含んでいるそうです.
ゲルマニウムは1886年にアージロード鉱(Argyrodite)から発見
された半金属の元素.物理的なことや用途などはほかの文献を
参考にしてもらいたい.
(以下顕微鏡写真)
帯紫褐色の部分がゲルマン鉱.中央に写っている鉱物は
砒四面銅鉱.黄色っぽいところは黄銅鉱のよう.
もう一つ.
産地:Kipushi mine, Kipushi, Katanga, Democratic Republic of
Congo.(非売品)
コンゴ産のゲルマン鉱です.もともと手元にあった石で,
75㎜×60㎜×20㎜の黒箱に入る大きさがあり,ずっしりと重たい
標本です.Tsumeb産の本鉱を入手する少し前に,購入したもの
です.
全体がゲルマン鉱およびレニエル鉱と説明を受けましたが,
何度観察しても,見分けがつきませんでした.写真上方の錆た
部分は斑銅鉱です.
(以下,顕微鏡写真)
鮮やかな赤銅色の部分が本鉱とレニエル鉱の部分です.
灰色部は砒四面銅鉱,下の方に斑銅鉱と黄銅鉱がみられる.
こちらは別の部分の顕微鏡写真です.左上の灰色部はほかの
金属鉱物と思いましたが,石英でした.
本邦でも東北の黒鉱鉱床より,2~3か所の報告がありましたが
いずれも薄片にしないとわからないという微細なもののようです.
ゲルマン鉱は入っていませんが,入っていそうな鉱石を挙げて
おきます.秋田県の釈迦内鉱山の黒鉱です.(非売品)
主に黒色部は閃亜鉛鉱からなり,少量の黄銅鉱を含んでいます.
表面がさびていて判り辛いですが,1㎜~3㎜程度の細い脈で
砒四面銅鉱が鉱石を切っています.この脈に沿って黒色に錆びた
斑銅鉱や方鉛鉱を伴っています.元ラベルは鉱物名は「斑銅鉱」
になっていました.
いまでもどこかに入っているかも~ と希望を捨てていません.