鉱物の顕微鏡写真27
―ヘルツェンベルグ鉱―
産地:大分県豊後大野市(緒方町) 豊栄鉱山
(K社で購入.非売品)
Herzenbergite ヘルツェンベルグ鉱
組成:SnS 直方晶系
色:灰色・黒色金属光沢.
モース硬度:2
比重:5.917
条痕:褐黒色
次は,ヘルツェンベルグ鉱にしました.
随分前の京都ショーにて,東京のK社で購入したものです.錫の硫化
物はそんなに種類が無く,覚えている限りでは黄錫鉱・褐錫鉱・赤錫鉱・
カンフィールド鉱・豊羽鉱・モースン鉱・フランケ鉱・インカ鉱・ポトシ鉱など
で,銅や鉄に比べて少ないように思える.
錫(Sn)と硫黄(S)という単純な組成の割に産地が少なく,これを書くにあた
って大阪ショーで海外産を探しましたが,見つけることができませんでした.
今回は国産のものを紹介します.
上の写真の産地の豊栄鉱山は学生の頃,今から18年ほど前の秋ごろ
に台風直撃でジャジャ降りの中,訪問しました.
前が見えないくらいの大雨で,土砂崩れなどで道路が遮断されては帰れ
ないので,到着してから十数分で退散した覚えがあります.
その後は知人に案内してもらい2度ほど現場に行きましたが,助手席に
乗っているうえ,結構厳しく指導してもらったので何を見たのか,探したの
かほとんど覚えていません.
ただ,錫の珍しいのが出ているが,今は採集できるか定かではないという
言葉だけ残っています.当地の鉱石である錫石(いしがねと云った)はのち
に入手しました.
ヘルツェンベルグ鉱はそのすぐあとだったか,新刊の図鑑でどういうもの
かを知りました.本邦では大変珍しい鉱物とかで,その名前を頭の片隅に
記憶して,各地で開催されている売り立て会で探していました.
ようやく入手した標本です.(その後も各地のショーなどで見ていますが
一度も見つけることができていません)
以下顕微鏡写真です.
上の写真とは別の部分についているヘルツェンベルグ鉱.
3枚目の写真の拡大です.
カメラのズームを用いて単結晶を拡大すると薄い板状になっていました.
やや明るい灰色―鉛灰色金属光沢部がヘルツェンベルグ鉱です.
母岩は淡黄色―白色・乳白色を呈する,やや不透明な劈開の発達した
方解石の盤際が,グライゼンのように細かい白雲母を伴ったような石英
で,加水錫石なのか判りませんが,黄色―黄褐色の粉状の鉱物を伴っ
ています.
購入した際に「未命名の錫の含水硼酸塩鉱物」を少量含んでいるとか,
いう話を聴いていました.少量すぎて分析できなかったとかいろいろ伺い
ました.どの部分かははっきりしませんが,のちに宮崎県の千軒平で報告
されたノルディンスキョルディンではないかと,今はそう思っています.
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